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ちょっと旅気分〜美術館さんぽ〜

「荒井寿一コレクション 川瀬巴水展」 平塚市美術館

大正から昭和期にかけて、風景版画を数多く制作した川瀬巴水(かわせ はすい)。彼を知ったのは美術館で購入したポストカードだと記憶している。

《上州法師温泉》。ひなびた温泉にゆったりと浸かる構図。知らない温泉だったけど、いつか行ってみたい気分になった。


会期終了が近いと知り、慌てて足を運んだ平塚市美術館。折しも開館30周年記念展。市内に本社を構える企業の会長が貴重なコレクションを公開したという。

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片道1時間超え。横浜で東海道線に乗り換えるとなんだか旅行気分。だって電車の行き先は熱海だ。

平塚駅からはバスに乗る。町中を走るのに人はまばら。すごく遠くに来た感じがした。

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上の2点は撮影可能だった。金沢の街と、馴染みのある鎌倉・鶴岡八幡宮。


巴水の画家としてのスタートは20代半ば。長男だったため、家業との兼ね合いがあったという。諦めきれず遅いスタートを切った。はじめから画業ひとすじ、という人は意外と少ない。前職からの華麗なる転身に驚くこともある。


木版画制作のために日本各地へ写生旅行に出かけた。風景版画《旅みやげ》は全3集あり、私が訪れたことのある旅先も数多く描かれていた。松島や十和田湖、蔦沼、奈良、尾道、宮島に桜島…。作品を眺めながら旅を追憶する。


《東京十二題》《東京二十景》は都内を描いたもの。それも名所ばかりでなく、巴水が興味をそそられた景色を選んだらしい。時代が違えば街並みも変わる。まだ高層ビルもない広い空と豊かな自然が見知らぬ場所のようだった。


割と雨や雪の風景が多い。重ねられた青色が深みを増す。不思議と画面に暗さを感じないのは、どこかに小さな灯りが描かれているからだと気が付いた。完全な闇ではなく、遠くに光がある。




木版画のほかにも本の装丁や絵はがき、雑誌の表紙を手掛けていた。最終章にまとめられたコレクションが本展の見どころらしい。

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帰りのバス、終点付近に柳の木があった。美術展とリンクしている気がして撮影。中に入って見上げる形。柳の木が風に揺れるさまは涼しげな眺め。


自宅でもゆっくり見たくて画集をおみやげに購入。うーん、美しい!

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そういやランチはこちら。駅ビルに入っていたコーヒー店のミックスサンドセット。コーヒーが小洒落た容器に入っていて、カップ2杯分楽しめた。


実際の旅を楽しめるようになるには時間がかかりそうだけど、心は旅に出たような1日になった。



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