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あまやどり読書室

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読んだ本の中から、「これはよかったよ!」というものを紹介しています。
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2019年11月の記事一覧

11月に読んだ小説│読んだ本

1日の終わりに小説を読んでいます。苦手な小説を読めるようになりたいから、という理由で読み始めたのですが、最近はリラックスして眠りにつくために読んでいるような感覚にひたっています。 『マチネの終わりに』(平野啓一郎著/文春文庫)映画を観る前に読んでおこう、と思って手に取りました。文章も、物語も、描かれる風景も、語られる言葉も美しくて、続きが知りたいけれど読み終えたくない……と思っていました。早く結末が知りたくて、ラストは通勤電車の中で読んでしまったのですが、思わず泣きそうにな

たまに読みたくなる本|読んだ本

特にきっかけはないのですが、たまに無性に読みたくなる本があります。今回紹介する、内田樹先生の『疲れすぎて眠れぬ夜のために』がまさにそれです。最初に読んだのは10年ほど前、2回目は5年前ぐらいだったと思います。 この本が読みたくなるのは、実は内田先生が書かれた「ある一文」を読みたくなるから、なのでして。その「一文」、はっきりとは覚えていないのですが、世の中は75%の発散する人と、25%の片付ける人とで成り立っている……みたいな内容だったと思います。 これまでの仕事で、わーっ

ミリさんブームが続いています|読んだ本

先日紹介した益田ミリさんの『大阪人の胸のうち』を読み終えてからも、ミリさんの本を読んでいます。 先週読んだのは、『ふつうな私のゆるゆる作家生活』(文春文庫)と『すーちゃん』(幻冬舎文庫)の2冊です。 『ふつうな私のゆるゆる作家生活』は、ミリさんが作家になるまでの道のりや編集者とのやりとり、そして、知らない自分に出会うために興味のないものに参加する、といったことがまとめられています。 ミリさんの本を読むたび、エッセイの一文とか、登場人物のせりふに突然ぐっと引き込まれてしま

京都で買った大阪の本│読んだ本

月に一度、習い事のために大阪と京都に通っています。いつも夜行バスで大阪駅まで行き、あちこちの本屋さんに立ち寄ってから京都にある教室に向かいます。 一番最初に行く本屋さんで何冊か買ってしまうのですが、9月から本を買いすぎていることに加え、今月は物入りなこともあって買うのを控え続けていました。 でも、帰りのバスを待つ合間にふらっと立ち寄った本屋さんで「もうここまで耐えたんだから、文庫本なら買っていいんじゃないかな……」と思い、手に取ったうちの1冊が益田ミリさんの『大阪人の胸の

あくまで自分と対話するために│読んだ本

この先の身の振り方を考えるために読んだ本のひとつに『Think Civility』(クリスティーン・ボラス著、夏目大訳/ 東洋経済新報社)があります。この手の本はもう読まなくてもいいかな……と思ったのですが、パラパラ眺めているうちに「これまでの社会人としてのわたし」を振り返るのにちょうどいいかもしれない、と思いまして。 職場の中で良好な人間関係を保ちながら、仕事でも成果を出すためにどうあるべきかを考える上でとてもよい本でした。また、自分さえよければまわりの人に迷惑をかけても

10月に読んだ小説│読んだ本

小説への苦手意識を克服したいと思い、毎晩欠かさず小説を読むようにしています。これまであまり読んだものについて振り返ることはなかったのですが、感想をメモするがてらまとめてみることにしました。 『罪の声』(塩田武士著/講談社文庫)グリコ森永事件をモチーフにした小説です。実在する事件をモチーフにした作品って、自分の記憶も掘り起こされてしまうので敬遠しちゃうのですが、映画化されると知って読んでみることにしました。あと、塩田さんの『騙し絵の牙』がおもしろかったのも、読むことにしたきっ

最適解を探し続ける|読んだ本

この記事は、以前はてなブログに投稿したものです。 ただし、一番最後の「おまけ」は投稿時に追記しています。 2017年の6月から、月1回フランス語を習うために京都に通っています。もともと半年で終わるはずだったのですが、参加者の希望もあって半年ごとに延長され、2019年6月から3年目を迎えます。 「なぜ京都でフランス語?」と聞かれるたび、定期的に通いたい本屋さんに行けるからとか、いずれ関西に戻りたいから……といったことを言っているのですが、一番の理由は当時の職場が殺伐とした雰