闘病記 day58
転院してひと月経ち、主治医との面談日が来た。
「脚の回復は順調ですね」
MRIの画像を出しながらH先生が言った。
腫瘍で圧迫されて歪んでいた脳が膨らんできていたが、所々に白い影が映っていた。
「このあたりに腫瘍があったんですが、まだ脳のむくみが残っている状態ですね」
そこが恐らく、手の麻痺に該当する部位なのではないか、とのこと。
妹が口を開いた。
「その部分のむくみが取れるまで、どのくらいかかるという目安はあるのでしょうか」
先生は、うーんと唸って、特に何日経てばという目安はないんですね、と答えた。
え。そうなのか。ちょっと意外だ。
脚の状態が良くなって、体力もついたら退院にしましょう。
それからは地域のリハビリ施設で手のリハビリを継続して、障がい者手帳の取得も視野に入れましょう。
そんな話になった。
手帳になるのか。
ズドーンと気分が重くなる。
半年経たないと取れないから、来年の2月になる。申請してからも半月〜1カ月待たされる。来年度の就職には間に合わない。
何となく不安な未来が見えてきたところで面談が終了した。1カ月退院が伸びたからと言って、1カ月経てば確実に良くなるということではない。身体機能の回復を担保されたわけでもなく、悪ければまた伸びることになるだろう。
気長に療養することにしようと思う。
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