療養記 定期ご報告

 お久しぶりです。黒薔薇です。

 私は、自分史上いちばん大きな病気を今持っているわけですが、回復するというのは、やっぱり風邪が治る時のように明確なものではないようです。

 足元がどっしり落ち着いて、「よーし、もう走ろうが跳ぼうがOKだな」と体で分かるようなことは、ほぼ起きていません。

 何なら、昨日はやれていたことが出来なくなっていたりします。

 この間、初めて3時間を超える長い間を屋外で過ごしたのですが、何事もなく帰宅出来たものの、翌日は昼まで目が覚めませんでした。

 こんな体でこの先どうしよう、と本気で心配になりました。

 その心配すら、実は進歩でした。

 これまでは「今この手をどこに置くか」以上のことを抱えられなかったのです。「次はトイレに行きたいから立ち上がらなきゃ、でもその前に脚をずらしたいから先にそこに集中させて?」

 それが私の思考のレベルでした。

 トイレに行くまでに転倒しないように気を張ると、その横で誰かが何かしていたとしても気に留めることは出来ないし、階段は口で数えながらでないと怖くて降りられない。

 体の不自由というよりは、脳の不自由が行動を狭めていたのだと思います。

 今は右にしかない手すりを左手で掴んで、1段ずつ階段を降りています。数えずとも怖くなくなりました。

 眠くて漫然と歩いても、ふらつきません。

 でも、所詮歩き慣れた自宅の廊下なのでまだまだです。初めて行く場所ならば迷わずエレベーター、エスカレーターに頼ります。

 街に出ればかくしゃくと歩ける人ばかり。
 トロトロと端を歩けばたちまち遅れて周りには誰も居なくなります。

 その景色がね、良いんです。

 綺麗な空もひとの頭に邪魔されずに撮れます。

 悪くありません。

 療養中に知り合った人たちはみんな、私の体のことを知っています。それでも会いたい、会おうと誘ってくれます。

 こそばいながらも「もうちょっと待って」と返事をするのも悪くないんです。

 この間、ようやく歯医者にかかれたのですが、そこはビルの2階にあって、階段に手すりがなく、エレベーターもなかったので受診出来ずにいました。

 長い入院期間にも拘らず、虫歯はひとつもなし。母親に感謝です。

 まだ飛行機に乗るお許しは出ていません。

 旅行はまだお預けのようです。

 ぼちぼちいきます。

 梅雨が近づいて参りましたが、どなた様もお体ご自愛くださいませ。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?