【週末ストーリィランド】「ためいき泥棒」第12話
アオイの想いは、単に姉の婚約者だった義兄という枠を既に超えていた。
しかし、それ以上踏み込むことは出来ない。
姉に対する後ろめたい気持ちや、直人の本心を確かめる怖さなど、15歳の彼女にとって、乗り越えるにはあまりにも高過ぎるハードルだったのだ。
それでも、日々の想いは膨らみ……そして積み上がっていく。
彼女がハードルを越えて見ようと思ったのは、年末の事だった。
「もうすぐ、クリスマスだね」
街路樹に掛かった煌びやかなイルミネーションを眺めながら、アオイは言った。
遅れて歩いてくる直人も、黙って頷く。
(今なら話をしても、耳が赤いのは冷たい風の所為に出来る)
背中を向けたまま、彼女はギュッと目を瞑りながら言葉を押し出していった。
「ナオ兄さん」
「ん?」
「クリスマスイブ……私と一緒に過ごしてください」
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