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「プロ」になるとは

➣まえがき

こんにちは。くりたろーと申します。先日投稿させて頂いたPMJLの記事ですが、投稿してから一日で300以上の閲覧を頂き、嬉しさを感じると共にPMJLの注目度の高さも窺えました。HSGの公式さんや紹介したチームの選手の方からもリアクションを頂き、また今回紹介できなかったチームのひとつのSGに所属するSaltGea選手からは「😭」と一言リプを頂きました。「SaltGeaさんを泣かせた男」として業を背負って生きていこうと思います。

まだ記事をご覧になっていない方でPMJL気になるよーという方はぜひ。

今回はそんなPMJLに出場する選手も含めた「プロ」に関するお話です。ここで予め申し上げさせて頂きますが、少し耳の痛い話をすることになると思います。あくまで私個人の考え、価値観、経験に基づくものですから「一意見」として捉えて頂ければ良いのですが、それでも少しチクッとした感情を抱かれるかもしれません。途中でブラウザバックして頂いても構いません。ただ「それほど真面目なお話」ということです。嫌われる覚悟でお話します。


➣なぜ「プロ」は息苦しいのか

よくこんな言葉を目にします。

「プロって色々縛られて大変だよな〜w」

「プロってこんなことも許されないのかよ〜」

ぶっちゃけ当たり前です。この後別にタイトルを設けてお話しますが、プロのプロたる所以は「強いから」ではなく、「スポンサーがいるから」です。チームの経営にはもちろんお金がかかります。その資金源として数社からスポンサードを得て、チームを育て、大会で結果を出して賞金を獲得し、チームの株を上げ、スポンサードしてくれた会社に様々な形でバックする。これが「プロ」のベースです。つまり、「プロ」という肩書きなんざスポンサーのご機嫌ひとつで一瞬で吹き飛ぶものということです。おそらく既に察しがついている方が大半かと思いますが、だから「息苦しい」んです。プレーの質は一定レベルより高くて当たり前、その他常日頃の言動、SNSでのマナーなどにもちゃんとした「常識」が求められるわけです。中にはプロの中でも「荒い言葉遣い」を売りにしている人もいます。「荒い言葉遣い」と「暴言」は非常に似ていて区別するのが難しいですが、そういうのを売りにできている人というのはその発言が「エンターテインメントで収まるかどうか」という塩梅を掴むのが上手いだけであって、そんじょそこらの人が真似しても上手くいきません。スポンサーに煙たがられて見事「アマチュア」に逆戻りです。

え?「そんな些細なことがすぐスポンサーに影響するの?」って?するんですよ。こういう世界を「社会」と呼ぶんです。


➣「プロ」は「強さ」のアイコンではない

先程、「強いから」プロになるのではない、という話をしました。一方で「プレーの質は一定レベルより高くて当たり前」という話もしました。プロにとって強さというのは、いわゆる「必要条件であって、十分条件ではない」ということですね。ということは「プロ」には他にも「必要条件」が存在するということです。その大部分を占めているのが「覚悟」です。

古臭い言葉ですよね、「覚悟」って。でもこれ以外言いようがないんです。

「スポンサーを背負う覚悟」

「言動を律する覚悟」

「社会人として生きる覚悟」

「チームの勝利のために他にやりたいゲームがあっても我慢してチーム練習を優先する覚悟」

細かく言えばまだまだあるでしょう。そういった様々な覚悟の上に初めて成り立つ肩書きが「プロ」なんですよ。

とある芸人さんの歌ネタですが、演歌調の曲に乗せて「〇〇(職業)になりてぇな〜」と歌い、その職業がいかに「〜するだけ」の職業かと皮肉って歌うネタです。その中には「プロゲーマーになりてぇな〜」というのもありました。そのネタの最後をその方はこうオトしました。

「時代の流れという運ゲーに勝利した勝ち組の引きこもり〜♪」

まぁ最近はオフラインの大会開催やプロとしてイベントやテレビ番組への出演などの露出もあるので「引きこもり」という表現は少し古いものになりつつありますが、大事なのは「時代の流れという運ゲーに勝利した勝ち組」という部分です。これは正しくそうです。

アケコンゲーやコンソールゲーといったいわゆる「玄人」の世界が地盤を作り、モバイルゲームのタイトルが参入したことで一気に裾野が広がったこのプロゲーマーの世界に踏み入れられたことはとてつもない「運」です。「たまたま」です。そこでこの世界にたまたま足を踏み入れられた人が、相応の覚悟を持っていないとどうなるでしょうか。


➣「覚悟不携帯」の罪

ここ数年で価値観が変わってきたもの、職業などはたくさんあります。YouTuberやプロゲーマーなんかはそれの最たる例です。一昔前なら馬鹿にされていた分野を先人たちは苦労に苦労を重ねて一大ビジネスとして形にしてきました。それでも今なお風当たりは強いです。それでも懸命に懸命に先陣を切って活動を続けている人がいるわけです。彼らのおかげでYouTuberやプロゲーマーという職業がポジションとして許されているのです。

そんな血が滲みた大切な地盤に、「覚悟」を持たずにのこのこやってきた「運ゲーの勝利者」は一瞬でヒビを入れるわけです。自分たちもそういうまだまだ危うい、風当たりの強い世界で活動していて「もっとこの業界が評価されることを祈って〜」と吹聴している割に、自らの首を絞めるようなことを平気でします。そしてこう言われます。

「これだからYouTuberは」

「これだからプロゲーマーは」

そして入ったヒビを直すのはまたしても苦労して基盤を築いてきた先人たちです。直しては壊され、直しては壊され。これでは一向に「立派な職業」にはなりません。お笑いもいいところです。

「覚悟不携帯」はそれほど重いんです。重大なんです。10代でこういう世界に踏み込む人も多い中で、こんな覚悟を決めなければならないのかと思うかもしれませんが、「決めなければいけない」んです。

ただ持たなければならぬ覚悟が多すぎて選手の皆さんやこれからプロを目指そうという方の目の前を真っ暗にしてしまってはこの記事を書いた意味がありません。まだ他の覚悟は順を追って、時間を使って持てるようになればいい、その代わり「この覚悟」だけは最優先に持って欲しいという話を最後にして筆を置かせて頂きます。


➣「社会人としての覚悟」

この記事を書いた動機はいくつかありますが、ここ数日でバタバタと起きた「チームとの契約問題」はその一つです。この業界に限らず、契約系の問題はとかく「言った言わない」の水掛け論になりがちです。そうならないためにも書面でのやり取り、もしくはその場の発言内容の録音は必須事項なわけです。「録音してへんやろな」なんて釘を刺されたら何かやましいことがあるに決まっています。こういったことは10代だろうが20代だろうが関係なく起こります。そうならないようにどうすべきかは私よりも先輩の社会人の皆さんが教えてくれます。Twitterでも「教訓」ツイートをいくつも目にしました。これからプロを目指そうという人も、既にプロになっている人もまだ遅くないです。知識を持てば正しく対処できます。

ではそもそもなぜそういう問題が起こるか。

プロチームはお金がかかるという話をしました。お金がかかるんです。初期投資も必要です。

そしてこの業界はまだまだ発展途上、世間の風当たりが強いという話もしました。

「まだ基盤が弱い業界なのに、そこに対して多額のお金を投資できるような人」がプロチームのオーナーになります。

ビジネスにおいて「発展途上だけど時代の波がきていてこれから市場が大きくなりそうな分野に目をつけられた」というのは大きいことです。ビッグチャンスです。

そして自分がオーナーになって雇えばいいのは「社会人の心得を知らぬゲームが上手い若者」です。

さて、そろそろ勘づいて頂けましたか?

もちろん、「マトモ」な大人の方が経営しているチームはたくさんあります。

一方でそのカラクリを悪いように使う「オトナ」がいても不思議じゃないですよね

その善し悪しを見抜く術もやはり知識しかありません。税金のことや、福利厚生のことなど知るべきことはたくさんあります。でもその知識を学ぶ、「社会人としての覚悟」が必ず皆さんにプラスになります。正直もうああいうイザコザを見たくありません。あなた一人の問題ではなく、応援している周りの人も少なからぬショックを受けます。

せっかく「運ゲーに勝った」んです。クリア後の世界がもっと素敵なものになるようにお祈り申し上げます。

そして「オトナ」の皆さん。

どうお金が動いているのか。

選手たちに十分な支援が行き届いているか。

選手たちが満足できる環境を提供できているか。

いつか全て見抜かれますよ。「覚悟」を持ってください。

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