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雑事に追われる

2007/10/29
(この記事は2007年、母が、まだレビー小体型認知症と診断される前のものです)


朝、母がチャイムを鳴らし、死にそうにどんよりとした顔で立っていた。
伯母(私の父の姉)が亡くなったという。90歳を超えて、大往生だったとのこと。お通夜は今晩6時から。

今日、母は青山の病院へ脳のMRIを撮りに行く日だった。「どうしよう。病院キャンセルしようか?」と言う。意味がわからない。
MRIは3時から。終わってタクシーで帰って、遅くたって4時半までには戻れる。

一日にいくつもの用事を入れることを不可能と感じる母は、半ばパニックになっている。頭の悪い犬のような目で私を見つめる。どうしよう、ワンワン。

そして明日は11時から区役所の統轄センターの人が、要支援のプランのために調査に見える日だった。明日の告別式のためにそれを延期しなくてはならないと母は焦る。早速私が電話し、別の日を予約。

朝から何人かの人に電話で予定を知らせ、昼間は病院で検査、夜はお通夜でお寺へ行って親族に逢い、明日は告別式。母にしては珍しく、活気のある日だ。

朝の馬鹿犬の顔はどこへやら、病院へ行く頃からやけに体調が良さそうだ。
顔がしっかりしているし、声にハリがある。「血圧、今日は上が110あるの」と言う。そりゃ上が60の日とは比べ物にならない。魂がココにある、って感じだ。

2時半受付3時からMRIだっていうのに、どうして12時57分にお迎えのタクシーに乗り込まなくちゃいけないのか、私にはわからない。早く行ったって、どうにもならないのに。想像どおり、病院へ1時40分には到着し、結局長いこと待つ羽目になる。まだ手をつけていない仕事を思い浮かべて私は憂鬱になる。

4時過ぎには帰宅し、結局私は明日の告別式に母に付き添うことになり、今晩のお通夜に、姉二人と母が出向くことになった。お通夜のほうがラクだったなあ…。

姉いわく、よたっている母を見て周りも「明日はいいですよ、無理しなくて」と言ってくれるのだが、「そういうわけにはいかない」と母は張り切る。お通夜の席では母は生き生きと、声もしっかりしていたという。人の目を気にして、自分の身体を支えないようにと、姉にきっぱり言い放ったという。

要するに結局、やらなくちゃいけないとか、行かなくちゃいけないとか、人に会ったり、何かをこなしたり、そういうことが必要なのよね。気持ちが張れば、血圧だって上がるのよね。

夕方帰宅した娘を、はしかの予防接種に連れて行った。医者へはいつも娘一人で行くが、初めて行く小児科クリニックなので、ちょっと気の毒かなと思い…。
小さな赤ちゃんやらがたくさんいて、娘と一緒に和んだ。ああやっぱり、赤ちゃんはいいなあ…。

明日の午前中は10時に出発。母と告別式に。
夕方は息子の矯正治療が最終段階に入り、親がお金をもって付き添うことになっている特別の日だ。

ああ…。ほんとにもう、ああ…ってかんじだ。

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