2011年の顔写真
2011/9/11
久しぶりに娘を連れて、母のお見舞いに行く。
母の顔は固まっていて、不思議なくらいに瞬きが少ない。目玉が渇いてしまうのではないかと心配になる。
母はほんとうに痩せてしまって、肉と呼べるものはほとんどどこにもないけれど、それでもなぜか目元には皺もなく、今日はすこぶる顔色もきれいだ。
買っていったショートケーキを、母はぺろりとたいらげる。生クリームたっぷりの、私だったら間違いなく胃がもたれてしまいそうなやつ。
そういえば母は昔から、胃は丈夫なほうなんだと思う。小さい頃から母が、胃が痛いなんて言っているのは一度も聞いた憶えがないもの。
眉毛をカットして、顔を剃って、耳を掃除して、ついでに鼻の穴まで掃除する。母の鼻の穴って、こんなに大きかっただろうかと想う。母の目って、こんなに大きく切れ込んでいただろうかと想う。
さっき、2009年から三年間の、ほぼ同じ角度で撮った母の顔写真を比べてみた。
顔の肉がすべて削げ落ちたために、母の目はこれ以上ないというくらいクッキリと、そして鼻の穴もハッキリと、際立ってきたのだと気づく。
今日も、母の写真をたくさん撮った。
娘と母、私と母、そして母ひとりの写真。
母がどんどん病んで、老いて、骨になっていく過程を、私はこの眼にしっかりと焼きつけておきたい。母のありのままを受け入れることは、何も怖くない。
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