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タッチ

2023.11.17 069
毎日note、今日は大好きなあだち充先生に最初に触れ合った作品でも。

小学校2年の頃。
読売ジャイアンツの背番号8番、原辰徳に憧れて野球に興味を持った際、マンガのタッチを読み始めた。
母親が読んでいたか、当時は父親が勤める営業所の2階に住んでおり、若手の人たちに夕飯を提供していたので、そのお兄さんの紹介だったかちょっと覚えていないのだが。
昭和ド根性アニメ、巨人の星は何度も再放送をしていたので、うっすらと観ていた記憶はあるのだが、血と汗を流しまくるその世界とは全く違い、爽やかな作風と双子の達也と和也、そしてお隣さんの幼馴染であるヒロイン南の3人が繰り広げるそのストーリーに次第に惹かれていく。
和也が思わぬ形で退場してしまうのだが、その和也の想いを受け取った達也は南を甲子園に連れていくという目標を胸に、眠っていた才能をフル回転させ、最後はライバル新田明男から三振を奪い悲願を達成する。
今読んでも色あせない、名作のひとつではあるし、あだち充先生がスポーツとラブコメを上手く融合させ、この先のご自身の武器を手に入れた作品でもあると俺は思う。

子どもの頃は何とも思わなかったが、大人になるとライバルである新田のセリフが突き刺さる。
「上杉達也は誰と戦えばいいんだろう」
新田が野球にのめりこんだ理由は中学の練習試合に、弟和也に完敗したことからだった。
そして和也の代わりに、才能なら負けていない達也と戦うことでその燻ぶった思いは昇華されようとしている。
では、達也は、一体誰と戦えばいいのだろうか。
それが新田の問いである。
その答えなんじゃないかというシーンがある。
達也は常に和也と戦っていたのではないか。
「和也、勝負!」
そう心の中で叫びながら投げていたシーンがあった。
達也もまた、和也と競いながら自分を奮い立たせていたのではないかなと思う。

思い出した頃にでも、また観ようと思う。