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【漫画原作】ハナバト!3話-秘密の花園で種入れ寸前!?-(創作大賞2023応募作品)

3話 『秘密の花園で種入れ寸前!?』

一星の自宅。キッチン
エプロン姿で夕食のカレーを作るツユクサ
目を輝かせ覗きにくる一星ヒナゲシ

一星「女の子にご飯を作ってもらえるなんて…!」
ヒナゲシ「美味しそう…!」

ツユクサ(私がボンヤリ過ごしていたと思った?人間の男の人に好かれるにはどうしたらいいか色々調べたのよ…!これぞ、『胃袋をつかむ作戦』!)

一星と目が合うツユクサ
はにかむような笑顔のツユクサ
一星、笑顔を返すが、複雑な表情。

一星、先日ヒナゲシが言っていたことを思い出す。
一星(2年以内に俺から種をもらえないと死んじゃうって…しかもどちらか一人だけだし…どちらか一人は必ず死んじゃうって事じゃん…もしかしたら二人ともってことも…)
頭を振って一旦気持ちを切り替える一星

◯テーブルの上。お皿に盛られたカレー。
一星「いただきま~す!」
カレーを1口食べる。
…表情が曇る。

はにかむツユクサ「美味しいか…?」
一星「う…う~ん…」
一星(カレーってどうやったら不味く作れるんだ…?精霊って味わからないのかな…でもせっかく作ってくれて、傷つけたらかわいそうだし…)

冷や汗をかきながらも笑顔を作りグッドポーズをする一星
笑顔のツユクサ
一緒に食べてるヒナゲシ「これが人間の食べ物?変な味~」

一星「しかし、君たちが来てから食費が増えちゃってどうしたものか…そろそろ親父を誤魔化しきれないよ…」
ヒナゲシ「食費~?」
ツユクサ「確かに居候の身ですからね…食費くらいお返ししなくては…」

ヒナゲシ「バイトでもしようか?」
目を輝かせながら提案する。
ツユクサ「そうですね…履歴書など何とかできれば…」
一星「何のバイトするの?」

ヒナゲシ「風俗って儲かるんでしょ?」
一星「ダメです!」

ツユクサ「花屋などどうでしょう?お花のことなら当事者なので詳しいですし…」
一星「花屋かあ…そういえば近所に、クラスメイトの家がやってる花屋があるよ。ホームステイで訳ありとか言えばもしかしたら雇ってもらえるかも…?」

◯花屋へ来た一星、ヒナゲシ、ツユクサ
店先に彩られた完璧に美しい花々に見惚れるヒナゲシツユクサ

ヒナゲシ「きれ~!」
ツユクサ「やっぱり温室育ちは違うわね…」

◯店内から出てきた、一星に声を掛ける

「あれ?一星君じゃん。花屋なんかに何の用?」
●五十嵐匠(いがらしたくみ)…一星の高校のクラスメイト

一星「匠君、ちょっと相談があって…」

ヒナゲシツユクサに紹介する一星。
一星「この子達、今訳あってうちにホームステイしてるんだ。名前は…」

ツユクサの手を取り、手の甲にキスをする。
匠「初めまして。ツユクサと、そっちの子はヒナゲシかな?」

驚く一星

「場所を変えようか」

◯公営のフラワーパーク
に案内され、一星、ヒナゲシ、ツユクサ が園内を歩く。

「家が花屋だからっていうのもあるだろうけど、小さい頃からいろんなお花にアプローチされてね…」

◯バラの花の影から、貴賓のある美女が現れ、に寄り添う。
美女「あら匠さん、お友達…?」

「ああ紹介するよ。彼女はバラの精霊。彼は学校のクラスメイトなんだ」

●お花図鑑
バラ…言わずも知れた、トゲの蔦を持つ華麗な花。香りがよく香水にも使われる。

バラヒナゲシツユクサを、卑しいものを見るような目で睨みつける。
バラ「その野花たちは何?まさか、新しい恋人じゃないわよね…?」
「はは…」
微笑む

、微笑みながらバラを見つめ、キスをする。
顔を赤くする一星ヒナゲシ、冷めた目のツユクサ

「心配しないで。君より美しい花などいない。」
バラ「そんなことなどわかっているわ」

◯その後、ユリ、ヒマワリ、ブーゲンビリア など着飾った花の精霊たちが次々と現れ、にアプローチしていく。(皆にハグ、キスなどの愛情表現をする匠。)

ユリ
ヒマワリ
ブーゲンビリア

ヒナゲシ「モテモテだね~」
ツユクサ「相当な数の精霊を殺すことになるわね。要注意人物だわ…」

匠「お花たちは少し席を外しててくれるかな?クラスメイトと二人で話がしたいんだ」
ヒナゲシツユクサも一旦離れることに。

◯園内の東屋。一星の二人が椅子に座って話をする。

一星「匠くんは、たくさんの花と付き合ってるの…?」
「付き合う?」首を傾げる。

「相手は花だよ?まだ人間になってない」
一星「でも、種を与えれば、人間になるんだよね?」

「そうだね、でも一人の人間が種を与えられるのは1人の花だけ。もったいないよね、こんなにモテモテなのに。」
一星「結婚するつもりはないの…?」

「結婚?種入れのこと?そうだね…まだわからない。」

匠「親父はね、かすみ草に種を入れて、その後結婚したんだって。かすみ草なんて、めっちゃ地味な花だけど、母親としては悪くないかな」

一星「知らなかった…花たちがそんな風に人間の世界に関わっていたなんて…」

匠「君はどうするの?ヒナゲシとツユクサ、どちらかに種入れして、結婚までするつもりなの?」

一星、うつむく。
一星「すげー悩んでる。人間の女の子にも、気になる子がいるし…」

「ふ~ん。僕は、人間より花が好きだな。素直で、わかりやすいし。」

「だから、種を入れて人間になってしまうのが、残念だと思うんだ。」
一星「でも、2年以内に決めないと精霊は死んでしまうんだよね?」

、軽く微笑む。
匠「また新しい精霊がすぐ生まれるから、大丈夫だよ」

一星、戸惑う。
一星「そうかな~~?」

一星「俺も、人間の女は嫌だなって思ってる。母親が嫌だったから…。魅力的に見えてもその時だけで、あとあと面倒なことになるのが目に見えてる。花は大人しくていいなって思ってた。でも、実際に花の精霊が現れて、そしたら花って結構欲深いっていうか…人間より怖いかも?って思ってる」

「欲深いね、そこが素直でいいんだよ」
一星「そうかなあ…」

「それでも人間の気になる女の子がいるんだ」

◯一星、青葉を思い浮かべる
一星「その子は…女っぽくないんだ。友達みたいに話ができて…でもいつかはこの関係も壊れてしまうかもと思うと…もうほんと、どうすればいいんだろう??」

「真面目に考えすぎだよ、もっと気楽に考えていいんじゃない?」
一星「いや、そういうわけには…」
匠「お花たちはさ、種さえ入れなきゃ、やりたい放題だよ?」
涼しい顔で微笑む。顔を赤める一星

◯東屋の周りに咲いている花々に触れてもてあそんでいる
それを少し離れて見つめる一星のモノローグ
一星(匠くん…ちょっと変わった奴だけど、相談できる相手ができてよかったかも…)

、花を見つめながらつぶやく。
匠「あのヒナゲシとツユクサ…僕に惚れたらどんな顔するかな…?」

一星「え…?」

匠「いろんなお花のことを知りたいんだ。あの子たちにアプローチしてもいいかな?」

4話に続く


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