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ジャムセッション

 昨日も2週間前に続き、ジャムセッションのホストバンドで弾いてきました。セッションのホストをNYでも4年近く務めてきて、その他にもいろんなセッションのホストを務めてきました。日本に帰ってきて早速またホストを務めることができて光栄です。

 ジャムセッションって本当に面白いです。面白いって言うのは今日は最高だった、イエーイ!っていうよりも考え深い方の面白さ。人間関係に縮図を見ているようでとても私には面白いです。
 
 ジャズは不思議な音楽で、各自楽器を持参して初対面の人と「なんの曲にしますか?」って言って話し合って同じ音楽を弾けるのです。日本では親切にお店に楽譜が載っている本が常備してあるところが多いみたいですね。NYではそんなもの置いておいてくれないので、曲を覚えていくか、リアルブック(たくさん曲が載っている本)を持っていく。でも後者は他のプレイヤーから舐められるので極力持っていかない人が多かったのかも。本を持っていくよりも、その曲知らない!ってしらばっくれた方がまだ様になるみたいでした。
 
 「初めまして」で始まった音楽がハプニング(バッチリ決まったいい演奏)することは本当に稀です。だってその人がどんな人だか全くわかってないのに、いきなりステージ上で同じトピックを提示されて会議するようなものです。心の余裕があってその人に寄り添うように演奏できるのならハプニングするかもしれませんが、全メンバーが同じ境遇にいるってことはジャムセッションの場ではないのでほぼハプニングしないのかもしれません。

 やはりジャムセッションでメインフォーカスになるのは『自分自身』のことが多いのではないかな?私もそうでした。「今日全然ソロ弾けなかったよー」「今日はこの曲わからなくって全然だめだー」そんなことばかり考えていたと思います。自分のことばっか。でやっと、そういえばあのドラマーかっこよかったよね、と人のことは二の次に気づくことが多かったのは私だけでしょうか?

 もっと周りの音や周りの空気を感じるようにしていたらあの時の音楽はもっと良くなっていたかもしれない。この人のソロを盛り上げてあげよう!とか、シンガーが最高に歌いやすいように演奏してみようとか、課題は自分のソロ以外に沢山あると思います。自分中心に考えている人が集まった音楽は、エゴの集まりでお客さんには聞くに耐えないものになるのかも。(ゾー!)

 右にならえ!で同じことをするのではない個性が大切な音楽でもあるので、自分をしっかり持つことが大事!今日はディストーションを使ってひずみまくりの一風変わったギターのおじさんが来たけど、そのおじさんはそれでよかったのです。ある意味格好よかったし。おじさんは「あんまりジャズギターっぽく弾けなくてディストーション使った演奏しかできないから他の店では嫌がられて」と言っていました。でもそれは、大音量で人一倍色んな音弾きまくっていたら一緒に演奏しているミュージシャンが無視されているようで不快だったのではないかな、と思いました。誰だって一緒にいたら一緒に会話を楽しみたいですものね。同じようにディストーション踏んでカッコいい演奏をするカート(ローゼンウィンケル)はみんなに煙たがられませんよね。むしろギター少年たちから黄色い声援が送られるヒーローです。

相手の言っていることに耳を傾けること。それが大事なのではないかと思います。何が今起こっているのか、誰がどんなことを言いたいのか。ちゃんと聞いてあげられるようになる。これはジャムセッションにわざわざ行かなくても家族の団欒の場で練習できそうですね。やったー!

 そんなことを感じた貴重な1日でした。偉そうに語ってしまいましたが、18年間本場でこのことだけにフォーカスして生きてきたので少しはその経験をシェアできることがあるかとも思いました。私が偉いわけでも正しいわけでもなんでもないけど、経験したことを伝えていくことが使命なような気がしてなりません。


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