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2022年11月 鳩間島

昨冬も西表島へ来た。思いの外、観光客が多くて驚いた。今年もLCCで石垣島往復が安くゲットできたから、11月末に来ることにした。今年の目的は未訪の島、鳩間島。2泊予約を入れた。が、冬場はとにかく船が欠航するらしい。しかも今年は秋から欠航続き。11月に入ってしばらくは順調に運航していたが、来る直前からまたまた欠航。朝の便で石垣に着いたこの日も西表島上原と鳩間島航路は欠航。明日は運航するかもしれないと石垣の離島ターミナル、八重山観光フェリーのカウンターで言われた。15時過ぎには出るか出ないか分かると言われ、鳩間の宿にその旨連絡。結果的には欠航となった。とりあえず上原までは、大原港まで船、そこからバスで行けるので、明後日予約してる宿を予約しようとしたら満室。離島ターミナル近くのビジネスホテルをとり、夕食は全国割でもらった地域クーポンが使える観光客向けの店で簡単に済ませた。
さて、翌朝。大雨、雷鳴も轟く。近いけどタクシーでターミナルへ。念のため確認したがやはり欠航。上原行きのチケットは昨日購入済み。大原までの乗船券とその先の代行バス券に引き換えてもらう。船に乗る頃には雨も止み、青空も現れた。

大原港行き8時の船に乗った。
大原港から先は、船会社の専用バスで上原港まで。

大原港には大きな観光バスが停まっていた。10名ほどが乗り込んだ。

大原港。雲が多いが、雨は止んでいた。
途中の海は比較的穏やかで、なぜ欠航したのか分からない。

上原港と鳩間島との間には郵便船が往復していて、郵便物や新聞などを毎日運んでいる。宿の女将さんが郵便船に乗れるよう頼んでくれていたのだ。港の待合室で待ってると置いてきぼりをくらうから、11時ぐらいから桟橋で待つようにと言われていたので、その通り待っていた。11時15分ごろ、小さな船が向かいの埠頭から出たので、桟橋につけて拾ってくれると思ったが、無視されてスーッと行ってしまった。その後、同じようにして島へ渡る予定のお2人が、郵便船ですよね、ぼくらも乗ります。宿の女将から聞いてます、と声をかけてくれた。島に家を持つ人で、島の宿を紹介してくれた友人とも親しいらしい。安心したのも束の間、12時過ぎて、やはりさっき出て行ったのが郵便船で船長の勘違いで乗せる客はいなくなったと思い込んでたらしかった。戻ってもらい、やっと乗船できたのは、桟橋で待ち始めてから2時間後のことだった。

上原港の桟橋。すっかり上天気。
待合室の売店でスパム握りを買って昼メシにした。
こういうのを見ると、つい、ドック・オブ・ザ・ベイを口ずさんでしまう。
やっと出航。
小さな船で椅子などない。エンジンルームの上に座るが、掴まる所が何もない。
沖へ出るとそれなりに揺れてメチャ怖かった。

同乗したお2人は慣れていて、荒れたらこんな程度ではすまないと笑っていた。
緊張して手足を突っ張って乗っていたので、疲れてしまった。それにしても港でさえとろけるような青緑色の海だ。

なんとか無事に鳩間島に着いた。

お宿は港からまっすぐ歩いた先にあった。まるだい、島で、というか八重山全体の中でも最古参といっていい長い歴史のある民宿。常連さんばかりで、直接知らない人が予約しようとすると絶対断られる、と友人が代わりに予約をしてくれた。お祖父さんの代から宿が始まり、今は東京で生まれ育った孫娘が女将を務めている。

島でも珍しい沖縄風の古民家。
たいがいの島の家はコンクリートやプレハブの今風の建物に変わっている。

一服した後、早速島の中を歩いてみた。人口60人あまり。集落は港近くにかたまっている。まずは、高台へ。

この御嶽は立入禁止。だが、海岸近くの御嶽は観光客でもお詣りできる。
島の神様は観光客には甘くて島人には厳しいと女将さんは笑っていた。
海上からもよく見えた灯台。その脇には物見台も復元されていて、西表島などよく見える。

灯台からずっと北の周回道路まで道は続いていると分からなかったので引き返した。集落の北東外れに昔の井戸、アンヌカー(下り井戸)があった。大変だったろうな、昔の水汲みは。

道端にはいろいろな花が咲いていた。これは、フトボナガボソウ、島内至る所に群生。
こちらはアメリカハマグルマ、かな。
下りてみようかと思ったが、思いの外、洞窟まですら深く、さらにその先も深そうだった。
ビビリなので、泉まで下るのはすぐに諦めた。

集落の東外れには小中学校。立派な校舎とグラウンドに驚いた。

鳩間中学校、鳩間小学校。海辺に広いグラウンドがある。

学校の手前には、ヘリポート。さらにその先には野外ステージ。鳩間音楽祭の舞台だが、コロナ禍で最近は行われていないとのこと。

はじめは手作りのイベントだった鳩間音楽祭だが、
ビギンが出たあたりから大勢の観客が来島するようになったそうだ。
簡易郵便局があった。

海岸近くには2ヶ所、御嶽が祀られていて、どちらも立入禁止とはなっていなかった。

髭川御嶽。もう1ヶ所の前泊御嶽とともにお詣りさせてもらった。

集落の中は、道は舗装され、建物は今風に変わった家が多いものの、サンゴの石垣やフクギの家囲いは多く残っている。

ネコとヤギはたくさん見かける。
珍しく見かけた赤瓦屋根に載っていたシーサー。
道端にはランタナもたくさん咲いている。

屋良浜へ行ってみる。車の轍が続く。

この道は島を一周する道と、後で教えてもらった。

屋良浜の入り口に1台軽トラが停まっていた。

曲がるとすぐ先に浜があった。
潮が引いて砂浜と岩場が剥き出しになった屋良浜。向かいには西表島。
大きなサンゴのカケラがたくさん落ちていた。
海の中のサンゴが死んでいる、ということだろう。

集落へ戻ると道の真ん中にヤギ。手前の海岸には野生のヤギもたくさんいた。

人懐っこいヤギ。蝿が目の周りなど飛んでかわいそう。

宿に戻り、シャワーを浴びてさっぱり。

お宿、まるだいの外観。いかにも沖縄古民家。

客用の部屋は2間のみ。しかもふすま仕切り。男女別の相部屋が原則。と、今時では少なくなったスタイルなので、原則、初見の客はとらないのだそうだ。

割り当てられた部屋は向かって左側。奥に神棚がある。お世話になりますとお詣り。

さっぱりした所でビール。

縁側がいい。風が吹き抜けていく。滞在中、ほとんど縁側で過ごした。
縁側からの眺めは、こんな感じ。

隣の部屋のお客さんが到着した。島の小学校にお子さんが留学をしているお母さんの2人連れ。お子さんたちも久しぶりに会うので嬉しそうだ。
夕食は19時から、と言われたので、その前に夕陽を見に出かけた。

期待通り、素晴らしい夕景を楽しめた。
強烈な夕陽だった。

さて、晩メシ。食堂へ行くと、同宿のお2人とご挨拶。どちらも関西からだそう。
オリオンのロング缶をお供にいただきます。

白身の焼き魚は高級魚アカジン、ゴーヤチャンプルー、もずく酢、昆布などの煮物、
ラフテー、ナーベラーの味噌汁。味付けもほどよくとても美味しい。

ビールの後は石垣島で買ってきた礼文島の水で与那国の蔵で仕込んだ泡盛、波声。一昨年、友人がここへ持ってきたので知ってると女将さん。
お客さんがやってきて、一緒に食事。2人のお母さんの子供らを教えている担任の先生だった。29歳、男子。家庭訪問みたいなもんです、と笑っていた。学校での様子など話しながら、酒を美味そうに飲んでいる。いいねえ、こういう交流は。でも任期は3年ほどらしく、来春にはお別れみたい。
お母さんたちが来島したのは、明日、年に一度の学習発表会が行われるから。運動会と並ぶ大事な行事とのこと。ぼくも見せてもらいに行くことになった。皆さん、盛り上がる中、22時半ごろには眠くなってお先に失礼した。

学習発表会のプログラム。

夜中は雨が降ったようだが、朝には止んでいた。

朝ご飯も美味しかった。
呑兵衛の方のお母さんは飲み過ぎたらしく、しんどそうだった。
今朝も縁側は気持ちいい。

午前中は島を一周することにした。

野ヤギの大群が逃げていった。
昨日も来た屋良浜は潮が満ちていて浜は狭くなっている。
大きな貝殻もあちこちに打ち上げられている。

轍の跡がついた道をどんどん進む。道にはヤギのフンが落ちてる。今朝も蝶が多い。群舞してる所もある。

岩場にいたヤギ。あんな所で何を食べているのかしら。
アサギマダラが群舞。すごい眺めだった。
たまにはオオゴマダラも飛んでいる。
所々で浜に出られるが、漂着ゴミが多いこと!

1時間ちょっとで1周し終えた。

学校脇の海岸。今日も海の色は素晴らしく美しい。
海岸近くの木に止まって囀っていたのは、アカハラかな。
この立派な建物は、島への留学生たちの寮だ。

早目にお昼ご飯をいただいた。こちらの宿は1泊3食付きなのです。1泊6000円。これでも値上げしたばかりだそう。

野菜たっぷりの八重山そば。薄味で体にも良さそう。
宿のマスコット犬。おとなしい。

荷物を整理して、手回り品だけ持って小中学校へ向かった。会場は体育館。大きくて立派。

受付で、まるだいに泊まった客ですが、見せてもらっていいですかと請うと、
どうぞ大歓迎ですと迎えてくれた。

館内には子供らの学習の成果の展示など飾られていた。そして開会。鳩間島の方言で小中学生全員が挨拶した。11名。大半が留学生のようだ。そして、授業で習ってきたという三線を弾きながらの歌。

舞台上の校章。
みな上手に弾いていた。

その後、いろいろな発表が続き、最後は生徒と教職員全員で合唱。途中、同宿のお2人のお子さんが登壇すると思わず頑張れと念じたり、最後はウルウルしてしまった。よく頑張ったね。ありがとう、いいものを見せてもらいました。

〆は全員による大合唱だった。

実は今日も定期船は欠航。が、学習発表会から帰る人たちのために船が出るので、便乗させてもらえることになっていた。
昨日の郵便船とは大違いで、乗船前にライフジャケットを着けた。船には椅子もある。2000円の価値は十分ある。船長は若いが、操縦は上手く、舵取りとスピードコントロールで船の揺れを抑えてくれた。

ライフジャケットは安心のためのお守りかな。でもないと不安に。
この子はずっと舳先に座っていた。郵便船ではあり得ないこと。
20分ほどで無事に西表島上原港に到着。


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