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202009 日本海に面した庄内地方で、気がつけば、日本酒三昧

 昨年9月、春に就航したばかりのジェットスター庄内便に初搭乗した。成田空港を離陸すると、正味35分、あっという間に庄内空港に着陸。本を読む間もなかった。

 バスで酒田市内へ出て、本日の宿、最上屋旅館に荷を置いた。昔ながらの木造三階建て、昭和レトロな宿。市内循環の100円バスに乗って山居(さんきょ)倉庫へ。隣接する土産売り場では地酒の試飲ができる。初孫(はつまご)生酛(きもと)純米、小さなグラス1杯100円。2口で飲み干せる量だが、優しい味わい。

 庄内米資料館を見学した後、酒田港へ歩く。昨日まで台風が日本列島を襲い、今日は晴れたが波は高く、飛島(とびしま)行きの船は欠航していた。明日は飛島で泊まる予定だが、どうなることやら。

 木造の六角灯台が立つ日和山(ひよりやま)公園に登ってみた。最上川が日本海へ流れ込み、海の向こうには飛島が横たわっている。町の中へ下り、宿へ戻った。

 入浴後、食事場所へ行くと、夕食を頼んでいる客は他にいないようだった。タイや甘エビなどの刺身、クチボソカレイ塩焼き、バイ貝などのおかずを、地元の上喜元(じようきげん)の冷やを飲みながらいただいた。30分ほどでご馳走様。

 飲み足りず、外へ出たが、心惹かれる店に出会えず、宿近くの沖縄料理の看板を上げる店に入った。ホヤをアテに泡盛を飲む。しばらくすると常連さんらしい年配の女性が入ってきた。店主は、海が荒れてここしばらく漁がないから魚はないよ、と言う。その後も、ひとり、またひとり、いずれも女性客が来て、飲んだり、食事をしたり。不思議な店だった。

 翌朝、快晴。船は出るだろうと思ったが、酒田市のHPで確認すると、欠航。昨夜、沖縄料理屋の店主が、連絡船が定期検査でドック入りして代船になっているから、ちょっとの波でもすぐ欠航すると話していた。

 予定変更。飛島の宿にはキャンセルの電話を入れ、レンタカーを手配し、鶴岡駅前のホテルを予約した。最後の1室と言われた。飛島に行けなくなったと話したら、宿のご主人が、それなら少し北にある鰊御殿に行ってみてはと勧めてくれた。

 旧青山本邸は、鳥海山山麓の遊佐町(ゆざまち)にあった。貧しい漁師の家に育ち、裸一貫で北海道へ渡った青山留吉が、その後積丹(しゃこたん)半島一帯の鰊漁を仕切るまでに成功し、故郷に錦を飾ろうと建てたお屋敷だった。広い敷地に、手入れの行き届いた立派な建物が何棟も立っている。庭仕事する女性、案内する人、皆さんボランティアという。地元の方々に大切に守られているのだった。

 南下して、羽黒山(はぐろさん)五重塔へ行ってみると、内部公開中だった。昨年、国宝指定以来初めて1年限定で公開されたが、令和となり、公開が延長されたとのこと。組まれた足場を登ると、塔の内部の心柱(しんばしら)を見ることができた。太い木を上に接いでいる。秋田あたりから調達したのではないかと言われているとガイドの女性が教えてくれた。五重塔そのものには釘は1本も使われていない。木材を組んで接いであるだけ。時を経た柿葺(こけらぶ)きの屋根を間近に見られるのも貴重な機会だった。

 鶴岡の夜は、知人が教えてくれた居酒屋、人情酒場へ。6月に発生した山形県沖地震により、庄内の酒蔵は大きな被害に見舞われた。応援のために地酒を飲まなくてはいけない。日本酒好きらしい店長が、3種選んでくれた。加藤喜八郎酒造の十水(とみず)、鯉川酒造の別嬪、渡會本店の和田来(わたらい)。サービスで、羽根田酒造の羽前白梅。どれも米の旨味を引き出して、とても旨い。赤貝の刺身も上等だ。一番気に入った十水を再び注文。店長と日本酒の話が弾んだ。本当は飛島で泊まっているはずだったが、こんな出会いも旅の楽しみだ。

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