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202006 ヤギ、野鳥、蝶、ネコ…。宮古諸島、多良間島へ

昨年5月、6年ぶりに宮古諸島を訪れた。前回は那覇経由だったが、今回は成田から下地島(しもじしま)空港への直行便。長い間パイロットのための訓練飛行場として使われていた下地島空港に、新ターミナル完成と同時に旅客路線が開設されたのだ。真新しい建物は、開放感たっぷりのお洒落なデザインで、南国の島の雰囲気によく似合っている。

 宮古島空港から飛行機を乗り継ぎ、多良間島(たらまじま)を目指す。下地島から直接宮古島空港へ行くバスはないので、宮古島中心部までの古い路線バスに乗車した。

 下地島に隣接する伊良部島の沿岸部には見覚えのないホテルが立ち並んでいた。新築ばかりで建設中も多い。バブルの真っ最中。中央部が盛り上がった伊良部大橋を渡ると、宮古島。この橋も6年前は工事中だった。公設市場前で下車。市場2階の食堂でオリオンビールを飲みながら魚フライ定食。

 市場をひやかし、ハイビスカス揺れる町並みをふらふら散策。蒸し暑くて汗が噴き出す。コーヒーを1杯飲んで涼んでから、タクシーで宮古島空港へ。宮古島から多良間島までの飛行時間は正味12分。着陸前に、住民が1世帯のみという水納島(みんなじま)が見えた。

 島の宿は建設現場などにあるようなコンテナハウス。見てくれは悪いが、広々した室内には、洗浄機付きトイレやエアコン完備、大きな冷蔵庫もある。シャワーは、外に共用施設がある。

 17時前、まだ陽は高い。自転車を借りて、前泊(まえどまり)港へ行ってみた。途中、道路の真ん中にヤギが堂々と寝そべっていた。港には寂れた待合所があるだけ。こんもりした茂みの奥に御嶽(うたき)。近くには別の御嶽もあった。中央スーパーでさんぴん茶や缶ビールを買って部屋に戻った。

 シャワーを浴びてから、缶ビール片手に大相撲観戦。遠藤がまた負けた。18時から本館の食堂で夕食。客は誰もいない。食堂に酒はない。隣の商店で好きなものを買ってくるシステム。缶ビールと缶チューハイを用意して、出された膳に向かう。メンチカツ、ゴーヤチャンプルー、イカ刺し、モズクと肉の団子揚げ、ご飯と味噌汁。ひとり寂しく食事。与那国の大雨の様子がテレビに映し出されている。

 近所の飲み屋へ行ってみた。カウンター席がないので、テーブル席にひとりで座る。お客さんは皆、グループ毎に満席の座敷で盛り上がっている。泡盛を頼んだが、ここでも話し相手は誰もいない。店員は忙しそうに酒や料理を運ぶだけ。早々に退散した。

 翌朝、5時半過ぎにようやく明るくなって、散歩に出た。野鳥が多い。ちょうど中継地点となっているのだろう。様々な囀りが響き渡る。蝶とネコも多い。八月踊りが行われる土原ウガンへ行くと、屋根を突き破って樹齢300年というアカギの巨樹が枝を広げていた。その偉容に見惚れていると、人懐っこそうなネコが2匹、足下にすり寄ってきた。

 朝食後、チェックアウト。荷物を宿に預けて、自転車で島内巡り。多良間島は周囲20㎞、楕円形の平坦な島。

 朝から日差しが強い。長いフクギ並木の参道は日よけになって助かる。その先に、塩川御嶽。立派なお社。御嶽の回りはいかにも南島らしい、イヌマキ、テリハボクなど南方系の樹林。

 サトウキビ畑が多いが、タバコも栽培されている。タバコの花が咲いているのを初めて見た。先がピンク色をした小さな白い花だった。

 島の最高点、標高34mの八重山遠見台には、コンクリートのタワーが立つ。津波避難場所だ。登ると、風が涼しくて気持ちいい。目の前に、平たく水納島が浮かんでいる。ダイビングボートが一艘ぷかりと浮かんでいた。

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