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2024年5月 石見銀山から温泉津温泉へ

出雲市駅前から西へ。まず向かったのは、三瓶山の麓。さんべ縄文の森ミュージアム。4000年前、縄文時代に三瓶山の噴火によって埋まった原生林がそのまま残っている。

魚津の埋没林は水中展示だったが、ここは発掘現場にそのまま展示してある。
すぐ近くで見ると樹肌が実に生々しい。
もうひとつの展示館には、深い穴の底に発掘時の切り株がある。幹の部分は切断して、上の展示館に展示。伐ったときには、生の樹のような匂いが充満したという。

思っていた以上に面白いミュージアムだった。さあ、山の中を石見銀山へ。まずは世界遺産センターへ。龍源寺間歩まで大森の代官所跡近くから電動カートが出ていることが分かり、そちらへ移動。無料駐車場に無事に車を駐められた。カートも他にお客もなく乗車。運転手さんが町のガイドもしてくれる。このあたりは移住者が増えているそうで、運転手さんも移住者だった。

世界遺産に指定されている古い町並み。龍源寺間歩まで歩くと45分ほど。カートは楽ちんでありがたい。しかも解説付き。多くの人はレンタサイクルを利用している。

やがて終点。龍源寺間歩入口。

ついこの前訪れた佐渡金山とは違って、坑内には人形などの展示物は一切ない。
よく坑内の天井や壁を探せば、銀の鉱脈は見えると教えられたが、よく分からずじまい。

帰りは、またカートを待とうかと思ったが、下り道だし、速い人であれば20分ほどで代官所跡まで行けると聞いたので、歩くことにした。お天気もいいし。途中、銀の店でアクセサリーを、さらにその先、雑貨店ではシャツを、カミさんはお買い上げされ、ご機嫌。

カキドオシ。
山は新緑が眩しい。
保育園の園庭には鯉のぼり。出雲あたりでは旧暦節句まで飾る風習らしい。
こんな素敵な面を玄関先に飾っているお宅もあった。
メインの通りには電柱もない。自販機もこのように隠されている。
美しい旧家がずっと並んでいる。
これはまた懐かしい。大昔の乳母車だあ。
熊谷家住宅の式台には、節句の飾りが据えてあった。

お昼時、何ヵ所か食事できる店があったが、ドイツ仕込みのパンを食べられるというヒダカという店でパンを買って、隣のカフェでコーヒーと共にいただいた。これが大当たり。

パンをあしらった暖簾もお洒落。
プレッツェル生地のクロワッサン、キッシュ、ナッツのS字形パン、白ソーセージとザワークラウト、カヌレ。どれもとても美味しくて気に入った。

高台に立つ観世音寺へ登ると、石州瓦が美しい世界遺産の町並みを眺めることができた。

昔の石州瓦は焼きムラのため1枚ずつ色が異なるが、現代の石州瓦は均一に仕上がっている。
ライブラリーもお洒落。手前には多くの絵本を置いたコーナーもあって、充実していた。
この床屋さんはシブすぎるなあ。ここで散髪してもらったら、昔風の男前に仕上がるかな。

町並み歩きを堪能し終えて、温泉津温泉へ移動。20分ほど。あれ、こんなに近かったかしら。10数年前に泊まったことのある、のがわや旅館。荷を置いて、まずは共同浴場へ。

昔ながらの温泉旅館。のがわや。昔泊まった時には女将さんが好印象だったけど、今回は翌朝、発つときに顔を出してくれただけ。ちょっと残念なり。
レトロな薬師湯。600円の入浴料を払って、一風呂。濃いお湯。
こちらは見ただけ。元湯。
元湯の前に、浅原才一の像。歌人であり、かつ宗教者でもあった。自分の中には角があり、鬼の心を持つ、それを仏が包み込んでくれると説いたという。
薬師湯の3階から町並みを眺める。色がまちまちの古い石州瓦がいいねえ。
休憩スペースのモダンなこと。

温泉津温泉の町並みには、古民家を利用した今風の新しそうな店がたくさんできていた。宿のご主人曰く、小さな町に去年だけでも20人ほどの移住者が来たそうな。

本と喫茶の店、いいなあ、このノリは。
こちらはゲストハウス、兼レストラン、兼コインランドリー。付近にはゲストハウスがとても増えたそうだ。

宿の浴室、まずは17時に予約した貸切風呂。たぬきの湯。

温泉の湯はいかにも温まりそうな成分。ナトリウムカルシウム塩化物泉。

夕食は部屋食。いまどき珍しい。しかもこの宿、エレベーターはない。部屋は3階だから、運ぶのも大変だろうに。

刺身のカンパチ、タイ、イカ、いずれも上等。左上はフグの酢の物。前菜各種も味付け加減がいい具合。
温泉街入口に蔵元がある開春。この蔵の3種飲み比べを。右の亀五郎はよそでは飲めないというが、ふくよかで米の旨味たっぷり。

19時半過ぎ、近くの龍御前神社へ。お楽しみの夜神楽だ。今夜出演するのは浜田市の後野(うしろの)神楽社中。地元温泉津の神楽団をもう一度見たかったんだけどなあ。前に来た時、演者のひとりが若い女性で、後で聞いたら、毎年京都精華大学の授業の一環で学生が温泉津に研修に来るが、その際にこの地を気に入って移住して神楽を始めた女性だと教えられた。宿のご主人のよれば、彼女はお元気で、地元の男性と結婚されてお子さんもできたとか。宿の近くに最近開店したカレー屋さんの移住女性も神楽をやっているとか。地元の出演だと、子供達もおおぜいやって来て熱心に見学するはずなのだが、残念だ。ただ、ご主人によれば、浜田の社中は上手らしい。

事前に予約済み。ひとり2000円のお代を払って、上がる。
衣装も立派なものばかり。
最初の演目は日本武尊。
この2人は道化役で、途中、漫才のようなしゃべりを展開。
激しい舞いと立ち回りでクライマックス。
二番目の演目は恵比寿。客の協力も得て、鯛を釣り上げる。その後、客席に飴を撒いてくれた。
最後はお約束の大蛇。スサノオノミコトが八岐大蛇を酒を飲ませて退治する。4匹の大蛇が舞台狭しと大暴れ。とても見栄えするお決まりの演目。

いやあ、二度目の見学だったが、やっぱり面白い。さすがにこの日、客席に外人さんの姿は見当たらなかったが、どの国の人たちにも年代も超えて、こういうの絶対大受けすると思うのだがなあ。

静まりかえった夜の温泉街を宿へと戻る。
夜は石風呂が男、翌朝は入れ替わって、こちらの岩風呂が男用になっていた。

最終日は、足立美術館へ向かう。

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