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2023年2月 壱岐・その1

壱岐はたぶん、40年ぶりのはず。20代後半の頃に一度来たはずなのだが、詳細は全く覚えておらず、写真もメモも残っていない。鬼凧があるという理由で、それまでに訪れていた萩沖の見島、五島福江島に共通する何かがありそうと訪れたはず。
長崎から乗った壱岐行き一便はANAサイトから予約したが、オリエンタルエアブリッジとANA、JAL共同運航便だった。

福岡空港をベースとするエアラインだった。
機窓から馬渡(まだら)島がはっきり見えた。
壱岐空港に8時11分着陸。

正味20分のフライト、着陸前には印通寺の町と港が見えた。空港でレンタカーを受け取り出発。まずは国の特別史跡、原(はる)の辻遺跡。魏志倭人伝に出てくる一支(いき)国の王都と特定されている。9時開館を待ち入館した原の辻ガイダンスでさらりと予習して、整備された遺跡公園へ。高台の周囲を濠が囲んでいる。最古の船着き場も発掘されたが、まだまだ未発掘エリアも多いようで、今後も大発見の可能性が高い所のようだ。風が強く、気温は10℃あるが、めっちゃ寒い。

復元された物見櫓と住居。傷みが激しい箇所も多く、修理作業中の建物もあった。
交易用倉庫や使節宿泊所などもあり、当時すでに重要な交易拠点だったことが分かる。
イヌマキで囲まれた一角には、祭祀用の建物が一列に並んでいる。その外に王の館。
遺跡のすぐ近くで野焼きをしていた。
祭祀の場のすぐ南にある周溝状遺構。重要な儀式が行われた場所と考えられる。
遺跡の周辺には麦だろうか畑が広がっているが、黒い旗がたくさん立っていた。
後で分かったが、烏などを避けるためらしいが、他のエリアでは見られなかった。
強風ではためく様子は、このエリアだけの特別感が漂っていた。

遺跡近くの高台に一支国博物館がある。

展望塔が目立つ壱岐市立一支国博物館(長崎県埋蔵文化センター)。

凝った展示をする通路を抜けると、通常の展示スペース。と、地元のボランティアガイドさんがあれこれ説明をしてくれた。大きなジオラマでは大勢のミニフィギュアが当時の服装で当時の生活ぶりを演じているが、実は1体1体は実在の島人をモデルにしているという。ガイドさんがこれは私の友達、というのであなたのフィギュアは? と訊いたら、私は2年前に移住してきたばかりだからありませんとの答。さすが移住先進地だ。

なかなか手の込んだ展示物になっている。右上の人形は鉄を作っているようだが、製鉄が行われていたことを示す遺物も発掘されているそうだ。
クジラの骨を加工して作られたアワビおこし。
弥生式土器は底が尖っているが、火で調理する際に器を安定させる「クド石」。
他にも有名な人面石、とんぼ玉、占い用の卜骨、古墳時代の金銅製品など充実している。
博物館出口の上には大きな鬼凧が飾られていた。

4階の展望所から先ほど上を飛んできた馬渡島などを見て、さて早めの昼メシを食べに郷ノ浦へ。

郷ノ浦の漁港に面して、かもめの朝ごはんが立っている。漁協婦人部の運営。
朝ごはん、となっているが、今は朝は土日しかやっておらず、平日は昼のみ。
バイキング形式でそのおかずが非常に充実していてびっくり。
車を運転するのでなければ、絶対に吞みたくなる内容。これで1100円。
アツアツ茶碗蒸しの下にある魚の皮の酢の物、日本酒でも壱岐焼酎でも絶対に合う。
刺身皿だけは、バイキングではなく直接渡された。脂がのったブリ、タイ、凄く旨い。

さて、午後は古墳をメインに回る。

今回のレンタカーはスズキスペーシアハイブリッド。ナビはお粗末だったが、他は満足。
次の車は軽でもいいかなと思ってしまった。
古墳の前に名勝。牧崎園地。芝生が広がり、ゴルフの練習するなと看板が出ていた。
その先っぽに、微笑むゴリラ岩。まあ、見えなくもないか。
鬼の足跡。大鬼がクジラを捕ろうと踏ん張ってできた穴だと伝わる。
海の向こうに対馬が見えた。やっぱり近いんだな。その向こうは韓国だ。

さあ、古墳だ。まず、鬼屋窪古墳。墳墓の盛土はなく石室が剥き出しになっている。そこに線刻画。おお、見える。しかも触れる。そっとね。船だな、追っているのはクジラかな。

鬼屋窪古墳。剥き出しの石室。
解説板に分かりやすく図解が出ていた。

お次は、掛木古墳。この周辺、古墳密集地帯。壱岐風土記の丘古墳館で概要をさらりお勉強。壱岐の古墳の素晴らしい所は、石室内に入れる古墳が多いこと。中でも掛木古墳は大きくて照明も完備。

こちらが掛木古墳。円墳。入口から入ると自動で照明が点く。
突き当たりの石室には石棺と蓋。すごいねえ。
突き当たりから出口へ戻る。
古墳館の奥に入場100円の古民家園。ここはさほど見るべきものはないが、家の外に置いていたという五右衛門風呂が面白かった。この辺でブームになったらしい。

掛木古墳の近くに百合畑古墳群。たくさんの小ぶりな古墳がひしめきあっていた。

ぽこぽこ盛り上がっているのがすべて古墳。石室内に入れる所もあるが、照明はない。

さらに少し離れた場所に笹塚古墳。石室内に入れたが、中は暗く、特に何もない。ここまでは歩いて往復。その後、車で移動して、双六古墳。

双六古墳はそれなりに大きな前方後円墳。
双六古墳の石室への入口は入れないように柵がしてあった。

さらに鬼の窟古墳。入口が大きな石で塞がれていた。

中には入れないが、照明のスイッチがあって最奥部は見ることができた。

鬼の窟古墳の近くには、兵瀬古墳がはるはずだが、探したが見つからず。少し離れた対馬塚古墳に向かうが、ここは標識は立っているが、前方後円墳全体が林に埋もれて全容見えず。
一応、古墳巡りはこのくらいにして、名勝猿岩へ。NHKBSのこころ旅で火野正平がチャリオを漕いで来ていた。

まあ、猿のように見えると言えば見えるが、それだけのことやなあ。

今夜の宿は湯本(ゆのもと)温泉の国民宿舎。平山旅館といういいお宿があるが今や高級旅館、40年前はたしかそちらに泊まったと思うが、当時は安い旅館だったはず。ま、それはともかく、宿へ行く前に山口温泉という立ち寄り湯に寄ってみた。

若いお兄さんが店番をしていた。400円。温泉は反対側の建物。
男湯にお客はおらず。貸切、独泉。手前があつい湯、奥がぬるい湯。
もちろん、両方に浸かったが、やっぱりぬる湯がいいなあ。海辺だからか、しょっぱい湯。

さあ、宿へ向かおう。高台の上に立っていた。部屋は3階、なんとエレベーターは2階までしかない。へんなの。改装はしたようだが、部屋に洗面台はあってもトイレはない。基本的に古いままなんだろう。

ひとりには十分な部屋。窓の外には海。

まずは温泉大浴場へ。さきの山口温泉と基本的には同種類。茶色く濁ったナトリウム塩化物泉。夕食は食堂で。

夕食のお料理。左手に壱岐牛陶板焼き。
さらにこの後、熱い茶碗蒸し、ヒラマサ柚餡焼き、天ぷらが順に出てきた。
壱岐の焼酎は好きな銘柄を選ぶことができた。

1泊1万ほどの安宿にしては上々だと思うが、いかんせん、早め早めの進行で、急かされてるような気分。日本酒はよこやまをワイングラスで、焼酎は壱岐の麦焼酎を2種類ロックで。〆の鯛めしを食べて食堂を出るまで、1時間足らず。せっかくいい酒があるのに、もう少しゆっくりしたかったなあ。

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