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2023年9月 おとQきっぷの旅、秋田県六郷

花巻から盛岡経由で、秋田へ。駅から歩いてすぐの八代目佐藤養助で昼メシ。

オーソドックスなメニューにするつもりだったが、タイカレーニ味をチョイス。上の海鮮カレーは貝柱やエビの出汁が効いてチョーウマウマ。
なまはげ君に見送られ、秋田駅へ。

秋田から奥羽本線で大曲まで引き返し、改札を出たところで、今夜の宿、ミロクハウスのオーナーやっちゃんに出迎えられた。ご主人のきゅうちゃんが運転する車で六郷へ。ミロクハウスはこの春にオープンしたばかりのゲストハウス。友人が開業直後に泊まって、良かったから一度行ってみて、と勧めてくれたのだ。

六郷の町の中に立つミロクハウス。

大曲から20分ほどで、湧水の町、六郷。実はこの町へは昔、一度来たことがある。蔵巡り仲間と共に、春霞の蔵見学に来たのだ。その蔵のすぐ近くに、ミロクハウスがある。
オーナー夫妻は、六郷とは直接の縁はない。2人ともシンガポールや上海など、海外で長く仕事をされてきた国際人。奥様のやっちゃんのお母さんが秋田出身で、コロナ禍を機に、それまでの東京暮らしを離れ、お母さんの近くで、地方を拠点に仕事をしようと、適地を探した結果、六郷で宿を開き、併せて海外への情報発信や地域活性化などをすることになったそうだ。
きゅうちゃんは、好きなことにとことんこだわるタイプ。早速、自家焙煎機で煎った豆で美味しいコーヒーを淹れてくれた。お互いの紹介などしておしゃべりした後、町中を散策。一昨日まではこちらも暑かったそうだが、今日は涼しい風が吹いている。

街歩きMAP片手に湧水巡り。町中至る所に湧水が湧いている。真昼岳の伏流水とのこと。一番有名なニテコ清水。名物ニテコサイダーも人気。
青い柵の中から湧いて、こんこんと溢れ流れていくニテコ湧水。

さらに湧水が目白押し。藤棚が近くにある藤清水、諏訪清水、山田家清水、幼子のおちんちんを意味するキャペコ清水、冒頭の御台所清水などなど。そして、民家の塀の中の湧水も見せていただいた。酒屋さんのお宅だ。

塀の中のハタチや清水。冷たい。8℃とのこと。
宝門清水は大きな池。掃除をしていらっしゃる方がいた。池は胸まである深さという。池畔の欅が古くて大きい。

町中へ出ると、物産館があったので土産を少々買い物。さらに酒屋。ちょうどきゅうちゃんが買い物に来たので一緒に入店。おお、新政がずらり並んでる。久しく飲んでないなあ。珍しい新政は空き瓶が飾ってあるが、見覚えのある瓶が多数。

秋田県内の日本酒が勢揃い。
春霞の蔵の前には仕込み水が湧き、自由に飲ませてもらえる。柔らかい美味しい水。

ミロクハウスに戻り、お風呂に入る。それでなくても肌あたりが優しいお湯を、酸素泡風呂を発生させるスイッチを入れると、たちまちお湯が白濁して、これが気持ちいいこと。へたな温泉顔負け。

細かな泡が出てきて、すぐにお湯が白濁する。

風呂上がり、先ほど買ってきた地ビールをグビリ。きゅうちゃんと飲みつつ、おしゃべり。彼は気学、易学を学んでいる。何でも突き詰めたくなる人なんだよね。

物産館で買ってきたなまはげラベルのクラフトビール。

ミロクハウスは基本は素泊まりだが、あらかじめお願いしておけば、朝食付きにも、夕食もお願いできる。今夜は居酒屋コースをあらかじめお願いしてある。やっちゃん居酒屋、友達の家にお呼ばれしたような感じで楽しい。もちろん、おふたりも一緒に飲んだり食べたりおしゃべりしたり。

見た目も美しい前菜盛合せ。
こんにゃくも酒の肴にいい。

この地には直接の知り合いはいない所から始まったが、今では近所の方々を中心に、様々な人との縁が広がっているそうだ。中には、プロのトランペッターもいるとか。さらに、この地ならではの特産品づくりも進めていて、ご当地カレーを東京の専門店ともタイアップして開発中。また、郊外に広大なラベンダー畑があり、そこに珍しい白いラベンダーが咲くそうで、そのアロマを活用してフェイスパックを開発したりもしてるそうな。こうした活躍に力を貸してくれる人もいれば、余所者扱いをしていい顔をしない人もいるそうで、田舎暮らしならではの苦労もあるようだ。
ただ、秋田は東京に比べて、食べ物は間違いなく安くて美味しいことを痛感してるようだ。羨ましいなあ。東京などで修業してきた料理人が秋田市内に安くて美味い店をあれこれ出したりもしてるそうだ。

この時季ならではの、春霞黄栗ラベル。いわゆるひやおろし。味がのって旨い。
塩麹に漬けた親鶏を焼き鳥で。こりゃ旨い。いわゆる廃鶏は、このあたりではきりたんぽ鍋などの出汁をとることにしか使わないそうで、先日もカレーにして試食してもらったら不評だったそう。徳島や高松では、わざわざ親鶏を焼鳥で好んで食べますよと話した。
こちらは同じく春霞の純米酒。蔵では酒米、美郷錦を地元農家に契約栽培してもらい、醸してきた。その契約農家へのリスペクトを込めた命名ラベル。

いや、美味しいものをいただき、美味しい日本酒を飲み、オモロい話をあれこれ聞いていたら、あっという間に夜は更けていく。

著名な建築家に設計してもらったという古民家風建物は、断熱が徹底されていて、冬でもエアコン1台で暖房できるそうだ。

23時過ぎにお開き。翌朝は5時過ぎに目覚め、6時前に散歩に出た。

すっかり秋の雲。

ミロクハウスのすぐ奥には熊野神社。まずはお詣り。

説明書きによれば、かっては南面していた神社が、今は西向きに変わっているという。大火で焼けた際、復興のため寄付した人たちの強い要望で彼らの方に向きを変えたとか。
かけ唄というのは即興の掛け合いかしら。ジャズとの取り合せも面白そう。

昨日行けなかった方へ回ってみる。いくつかの湧水を回り、入口が分かりづらい柳清水へ入っていくと、早朝から仕事をしていた方が、話しかけてくれた。

今日はたっぷり水が湧いているが、少し前までは水位が下がっていたそうで、他の湧水の具合も気にしておられた。小さなサンショウウオがここにはいるそうな。
福島から山形、秋田へと繋がっていた羽州街道。六郷宿はその中央に位置していたという。

宿に戻り、朝ごはん。このあたり、納豆の本場、というか納豆発祥の地の説もあるとか。オハヨー納豆の本拠地だそう。で、秋田ではひきわり納豆が主流らしい。トンブリを混ぜていただいたが、なかなかいける。ぼってりした卵焼きが好ましい。もちろん米は旨いし、正しい朝ごはんだな。

いぶりがっこはビール漬け、小茄子漬物も一般的とか。
そして、美味しいコーヒーとともに出されたのが、きゅうちゃん自作の焼き立てクロワッサン。これが旨いのだ。この先、オープン予定のカフェで出そうかとの話もあったそうだが、冷静に考えたら原価高過ぎて商売にはならない。でも旨いものは旨いのだ。

いやあ、すっかりお世話になりました。また機会を作っておじゃまさせてもらいます。大曲駅まで送っていただき、お別れ。

秋田へ出て、羽越線の特急いなほに乗り換え、新潟を目指す。
朝からビールとカップ酒で、列車内居酒屋開店。

さて、新潟はどんな楽しいことが待ってるだろうか。

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