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2023年1月 3年ぶりの蔵巡り、大七酒造へ

会社の同僚たちと数十年前から続けてきた日本酒の蔵元巡りは退職後も続けて来たが、コロナ禍で中断せざるを得なかった。そして、3年ぶりでやっと出かけられることになった。
集合は郡山駅。駅内にある「もりっしゅ」は福島の酒がたくさん揃う店。ひとり旅で何度も立ち寄っている。まずは、ちょい吞みセットで乾杯。

サッポロ黒生、日本酒は名前を聞いたけど忘れた。肴2品。

さあ、4人いるので、あれこれ試せる。1合ずつもらってシェアする。曙酒造の一生青春大吟無濾過、人気一のゴールド人気純米大吟、笹正宗純米などなど。肴もあれこれ。

喜多方の笹正宗純米、40年前に日本酒にはまるきっかけとなった酒。

いい案配で気分盛り上がって、郡山から二本松へ。蔵見学は、コロナ禍にあって一斉に中止され、今なお復活しきれていない。僅かな蔵元が、感染対策を行った上で、人数などを限定して再開し始めている。今回は生酛造りで知られる大七酒造に予約をした。試飲付き見学は予約制有料で、ひとり1000円。駅からタクシーで10分弱。モダンで立派な蔵に到着。ウィスキーのディスティラリーみたいな建物。お洒落な制服姿の案内係の方に出迎えられた。

この方が説明、案内、試飲とお世話をしてくれた。

仕込み期間中のため、製造現場へは立ち入ることができず、歴史や蔵の紹介をビデオ鑑賞。こちらの蔵では、生酛造り、超扁平精米など古い歴史の上に絶え間ない工夫の積み重ねを続けておられる。

ご先祖は伊勢から二本松へ移り、宝暦2年(1752)に創業されたという。
現在の当主で10代目。

2005年、創業250年を記念して、現在の立派な蔵を新築。建て替えの際は、古い蔵に付いていた様々な酵母菌を失わぬよう、慎重に取り込んだという。

入口を入ってすぐのロビーは高い天井。天井の梁は昔の蔵の材を使っている。
地元のステングラス作家の手による昔の酒造り場面が素敵。

さて、いよいよ、お待ちかねの試飲タイム。試飲用には猪口ではなく専用グラスが用意されている。

試飲した大七の日本酒。右から、純米生酛、純米吟醸皆伝、この2種は酒米が五百万石。
そして酒米を山田錦とする、純米大吟醸箕輪門、純米大吟醸雫原酒宝暦大七。
最後に生酛梅酒。
色味を見るために利き酒用猪口の内側に描かれる藍色を焼き付けた陶器板に載せて。
宝暦大七は背の高いリンデルのグラスで。いやあ素晴らしい香りと味わい。

試飲とは言え、けっこうたっぷりいただいた。それぞれの違いもよく分かる。堪能させていただけた。最後は土産の買い物。

季節柄、搾りたての新酒が並んでいたので迷わず買い求めた。
カウンターに使われていたのは昔の蔵で使われていた1枚板の欅。
帰りは二本松駅までぶらり歩いて。脇の小川にはカモがいた。

さて、二本松から郡山に戻り、今宵の宴は行きつけの居酒屋門土庵にて。開店早々、17時半に入店。もちろん一番乗り。いつもはカウンターだが、今日は奥の小部屋でゆっくり4人で。

まずは生ビールで乾杯。突き出しは長芋千切りとマグロの山かけ。早く日本酒にしよう。
この後、刺身盛合せもだしていただいたので、なおさら日本酒モード。

吞みたいお酒はいろいろあるが、まずは、2合ずつ、楽器正宗、天明、一歩己あたりから。

同行メンバーらは初めてだったようで、好評。矢吹町で自然郷を醸す蔵の今の代表銘柄。
酒米は夢の香。中取り本醸造。
天明はかつてこのメンバーで蔵見学に行ったこともある。当時は社長夫人が杜氏だった。
現在は息子さんが跡を継がれて、いい酒を相変わらず造り続けている。
年明けの新酒、中取り3号、純米おりがらみ。酒米は亀の尾。

カウンター席だと、女将が大皿料理を一通り説明してくれて、好きなものをあれこれ頼むのだが、個室のため、おまかせで少しずつあれこれ出してもらった。約1名、早く燗酒にしたくてたまらない人がいるため、そろそろお燗でお願いします。

隣のテーブルも使えば、7~8名ぐらいは入れる個室。
ゆっくりできるが、ご主人や女将さんと会話できないのがちょいと寂しい。

あっという間に2時間ほど経過。そろそろ最後のお酒を。飛露喜の初しぼり特別純米かすみざけ、を勧められた。ぬる燗でいただくと、こりゃウメエや。

〆に特製豚汁をいただいた。キノコもたっぷり。体の芯から温まる。

ご馳走様でした。

ご主人に見送られて、駅へ戻り、磐梯熱海まで列車移動。

磐梯熱海で下車後、歩いて2分。これまた定宿の紅葉館きらくや。

駅から近いのがありがたい、紅葉館きらくや。

しっかり全国旅行支援割引きで。ひとり2000円分のクーポンもいただいた。部屋へ入ると、2間に別れて寝床を敷いて、大浴場へ。ぼくは大好きな源泉ぬる湯。皆さんは冷たくて入れないと言うが。

源泉そのまま。冷たいがじっと10分ほど浸かっているとポカポカしてくる。

部屋に戻り、大七で買い求めてきた皆伝を飲みながら、久しぶりの蔵巡りの余韻を楽しんだ。
翌朝、起きた順に温泉へ。4階に貸切展望風呂も2つある。ぼくは1階の大浴場から4階へ。ちょうど東の空が赤く染まっていくのを眺められた。7時に朝食会場へ。バイキング方式。当然、朝酒。缶ビールの後は、売店で販売している日本酒。

朝食会場。思った以上に大勢の宿泊客がいることが分かった。
まあ十分これでつまみにはなる。
宿のオリジナル日本酒と、嬉しいことに天明を醸す曙酒造の特製酒。あとで買い足したので、結局、朝からビールとひとり1合を吞んだ勘定になる。

さて、今日は会津若松へ向かう。

磐梯熱海駅。
郡山方面からやってきた列車に乗車。

車内はそれなりに乗客が乗っていた。4人掛けのボックスシートで、ひとりだけ座っている席に相席させてもらった。隣の先客は、小柄な外国の女性だったが、手元にJR私鉄全線のりつぶし地図帳という本を広げている。古巣の会社が出している商品だ。ありがとうございます。近頃は女性の鉄道ファンも増えているが、外国の方は珍しい。と、窓の外が雪景色に変わっていき、スマホで車窓風景を撮っていたら、その方が先の方を指さして雪に覆われた磐梯山山麓に霧がかかっているのを教えてくれた。

郡山や二本松とは別世界が待っていた。

それをきっかけに少し隣席の方と話してみると、2週間かけてあちこち鉄道で回っているらしい。九州のページを開くと付箋が貼ってあって、美しかったとおっしゃる。これからどこへと訊ねると、只見線に乗るという。昨秋数年ぶりに全通したこともご存じだった。へええ。雪の只見線は感動するだろうね。いいねえ。

雪に埋もれたホームもあった。
違う角度から見た磐梯山。

会津若松で下車する前に、Have a nice trip. Enjoy Tadami-line. と声をかけたら、何と、クスクス笑いながら、日本語でありがとうと返事が返ってきた。あちゃ、日本に住んでる人だったかな。
さあ、駅から歩いて渡辺宗太商店へ。地域クーポンで酒を買うのだ。

會津酒楽館渡辺宗太商店。このメンバーで以前にも訪れたことがある。
広い店内を回って、各自思い思いの日本酒を買って満足。

タクシーで末廣酒造へ行くと、見学は時間指定があって断念。近くの鶴乃江酒造に寄ってから、桐屋権現亭へ。

末廣酒造。
鶴之江酒造の店の前のマスコット。

まずは蕎麦前。ニシン山椒煮、味噌田楽、こづゆ。酒は末廣の山廃純米をお燗で各自1合ずつ。

山椒の葉っぱの香りがいいねえ。
この季節はやはりお燗がいいな。ふんわり温まる。

〆の蕎麦は3種盛。十割の会津頑固蕎麦も、白い飯豊権現蕎麦もいい。結局、ひとり2合半ずつ吞んだ。

おろし立てのワサビの香りも良し、漬物も旨い。

予定より1本早い快速で郡山に戻り、新幹線に乗り継いで、久々の蔵巡り旅は終了。来年も行けるといいねえ。

やまびこ号で大宮まで。
車内のお供は大七ワンカップ。吞んでるのはぼくだけだった。

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