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2022年5月 粟国島

伊是名島から運天港に戻り、那覇で1泊した翌朝、泊港から粟国島行きのニューフェリーあぐに、に乗船。この日、早朝は晴れていたのに、9時過ぎには霧が出てきた。出航後、しばらく霧の中を進んでいたが、慶良間諸島沖では晴れ渡り、渡嘉敷島や座間味島の島影もはっきり見えた。さらに進むと、渡名喜島も見えてきた。

渡名喜島が見えた。

やがて粟国島が行く手正面に姿を見せてくれた。島の左の方は高台になっていて、右手は平地。

正面に見えてきた粟国島。これは左手の高台の方。

出航から2時間後、粟国港に入港した。観光協会が電動自動車をレンタルしている。予約した時、港からバスに乗って観光協会前までと言って下さいと言われた。バスを探したが、バスではなく役場のワゴン車が代車になっていた。後部座席を荷物置き場にしているので、正味3名しか乗れそうにない。大きな荷物を持った人が3名以上いたので、ザックひとつの身軽なぼくは歩くことにした。歩いても10分もかからない。車は5000円、返却時に電気代は別途精算。昼ご飯を食べられる場所が少なそうなので、訊ねたら、西端のマハナにある喫茶まはなは確実に営業していますと教えてくれたので、向かった。店内での飲食はできず、表のテント下のテーブルはOK。食事メニューは、炒飯とカレーのみ。カレーとアイスコーヒーを注文。目の前は芝生で、パークゴルフ場になっている。きもちいい風に吹かれながら、ランチタイム。

カレーとアイスコーヒーで650円。

ちょっと先がマハナ展望台。島で一番見晴らしのいい場所。青い海が広がっている。宿を予約した時、2軒ほど満室と断られた。ダイビングのシーズンだから、と言われた。確かに海にはダイビングボートが数隻浮かんでいる。

マハナ展望台近くから見えたダイビングボート。
マハナ展望台の駐車場。これがレンタカー、三菱のアイ・ミーブ。

海沿いに東へ向かう。ヤヒジャ海岸、という所へ道路から階段を下る。浜に下りると、凝灰岩の海食崖、海岸には溶岩とその熱で赤く変色した凝灰岩という、タモリ大喜び的景観が広がっていた。

ヤヒジャ海岸。真ん中の黒っぽい岩が溶岩。その下が溶岩の熱で赤く焼けた凝灰岩。

さらに西へ。道路が急勾配で海岸へ下っていく。西ヤマトゥガーという海岸。ハマヒルガオがたくさん咲いている。蝶も舞っていた。

西ヤマトゥガーのハマヒルガオ。
西ヤマトゥガーのシロオビアゲハ。

さらに少し西へ。またまた道路が急勾配で海岸へ下ってる。東ヤマトゥガー。おお、これは凄い。大きな岩の隙間を下っていく。

東ヤマトゥガー。絶景なり。
東ヤマトゥガーの海岸には、かつて休憩小屋でもあったのだろうか、洞の下に
コンクリート建物の残骸が残っていた。

元の道路まで登り返し、港の前を過ぎると、観音堂があった。観音堂といいながら鳥居が立っている。ここに祀られているのは、梵字の石碑。貴重なものらしい。

港近くの観音堂。

島の東海岸を北へ。まずは西の浜。映画ナビィの恋のロケ地という。遊歩道と展望台が見えるが、立入禁止になっている。たぶん遊歩道が壊れているんだな。小さな砂浜のビーチには下りていくことができた。それなりに雰囲気はある。

西の浜。

その先のウーグ浜(長浜ビーチ)が島で一番の観光地だろう。なんと、真新しいオートキャンプ場があって驚いた。誰が車でキャンプしに来るんだろう。那覇の人たちか。フェリーに車を積んで来るのかな???

白い砂浜とリーフの浅瀬が続くウーグ浜。ここにも軽石が打ち寄せていた。

島の北東部には粟国空港がある。毎日は就航していないが、週に数便、第一航空の飛行機が通っている。滑走路は800m。

粟国空港。運行時には中心部へ100円バスと200円タクシーが走っている。

島の最北には、粟国と言えば粟国の塩、と言っていいくらい有名な製塩所がある。正式名称は、沖縄海塩研究所。コロナ禍で見学はできない。ここでしか買えない天日干し塩を買いたかったのだが、誠に残念ながら品切れ中だった。

沖縄海塩研究所。
天日干し塩がなかったのは残念。塩のりと茶飴を買った。
暑い中、釜炊きで海水塩を煮詰めている。

さて、島巡りもそろそろ終盤。島の北西、洞寺(てら)へ。公園になっていて、むんじゅる節の碑が立っていた。むんじゅるとは、畑仕事の際などに被っていた麦わらの平笠。これを被った女性に恋する気持ちを歌う琉球民謡むんじゅる節発祥の地とされている。ボタンを押すと、島唄が流れてきた。

むんじゅる節の碑。

お寺の門のような入口をくぐって、鍾乳洞に入っていく。洞の中は気温がぐっと下がって、気持ちがいい。そして、鍾乳洞は想像以上に規模が大きく、見応えがあった。入場料など野暮なものは不要、というのもエライ。

沖縄本島から流罪にされた僧侶が、洞内で死ぬまで読経三昧で暮らした。
そこからテラの名前が冠されたそうだ。
鍾乳石も大小様々に見ることができる。
外の光が差し込む様子が神々しい。

島の集落内は細い路地が通う。そんな中に、映画の舞台となった場所が点在している。大濱倶楽部もそのひとつ。

大濱倶楽部。近くには数カ所、映画の舞台が点在している。
大濱倶楽部近くの路地。

さて、そろそろ宿に行くか。実は、さきほど宿から電話があり、今日は来ないのか、と。いや、昨日、わざわざこっちから明日は予定通り行きますから、と電話してあるのに。船が入港しても宿に来ないから、キャンセルされたのかと心配したらしい。予約時から、かなり耳が遠いおバアさんだと分かってはいたが。民宿伊佐は港に比較的近い場所。部屋はコンクリート造りの家の2階だった。広々したツインルームで、バストイレ付き。ほう、上等じゃないか。まあ、よく見たら、お掃除がされてなくて埃がいっぱい、バスルームも清潔とは言えないが。

外の階段を登って、2階の客室へ。
室内は広々している。

まだ早いので近所を散歩。派手な建物があると思ったら、夏季限定営業のパーラーだった。

パーラー☆しーじょーや。

宿の奥には、共同売店。夕食時の飲み物はここで調達してくるように言われた。缶ビールなど買い物。

宿の裏手にある浜売店。

夕食は18時から。客は他にいない。オバァから渡されたお膳を見て、え、これだけ、と思ってしまった。

民宿伊佐の夕食膳。缶ビールや泡盛を飲むと分かっているのに、ご飯セット。

食事をしながら、オバァとあれこれおしゃべりをした。耳が遠いから、かなり大声を出しても、繰り返すこともたびたび。結局、意思疎通できないこともしばしば。この宿はオバァのお母さんががんばって作り上げた宿。娘は神戸でずっと暮らしてきた。阪神大震災の後、高齢化した母親を手伝うためにやむなく島に戻ってきたらしい。家族は皆、神戸に残ったまま。息子2人はずっと神戸で生活し、今は退職したという。孫もたくさん向こうにいるらしい。彼らが島へ来るのではなく、たまにオバァが神戸に1ヵ月ほど遊びに行くのだそうな。なるほど。100歳でなくなった母親は本当に宿の仕事が好きだったそうで、お客のことばかり考えて、がんばって働いて、今のバストイレ付きの新館も建てた、それを守らなくてはならないのでしょうがないのだ、ということらしい。よそ者がいい島ですね、なんていうのは信じられないとも。まあ、それじゃあ、せっせと掃除をしたり、客を喜ばせるような料理を作ったりする気にはなれないんだろうな。まあ、1泊2食付きで6000円だから、あれこれ文句を言うべきではないのかも。1時間ほど経つと、喋りすぎた、いつまでも座っていないで出て行け、片付けするから、と怒られた。
暗くなってから、海岸の方へ行ってみた。ふと、見上げると、満天の星空。久しぶりに見たなあ。これだけでも粟国島へ来た甲斐があった。
翌早朝、近所を散歩。

民宿の入り口の門。
港の待合室の建物の壁に歴代の船の写真。
ちゃんとした朝陽を見ることができた。いいねえ。
港の防波堤に、歴代の中学卒業生の卒業年次ごとの壁画が描かれている。
島では水が貴重品だった。各家には、トゥージと呼ばれる石の水鉢が
数個ずつ置かれていたという。
島には野鳥が多い。シロガシラ。恋の季節なのか、しきりに囀りを交わしていた。
やはりこの島にも猫は多かった。
これは何という花だろうか。
朝ご飯は夕食よりずっとまともだった。

チェックアウトしても、昨日のうちに島内全て回ってしまったから、行くところがない。しょうがない、まずはウーグ浜へ行って、ぼんやりしよう。

そうそう、ヤギもまたたくさん見かけたなあ。
ウーグ浜周辺は、モンパノキの群落が天然記念物に指定されている。
1時間ほどビーチに滞在したが、誰一人来る人はいなかった。

次に向かうのはマハナ展望台。またここで1時間ほどぼんやり過ごそう。

マハナ展望台の手前に番屋跡がある。異国の船など不審船を発見すると、
松明で慶良間諸島経由で首里王府へと知らせたという。
マハナ展望台で、喫茶まはなで買ってきたアイスコーヒーを飲みながら1時間ほど
過ごしていると、那覇からのフェリーが遠くに見えた。そろそろ港へ行くか。

観光協会へ電動軽自動車を返却。電気代は走行距離に応じて、×50円という。1650円も請求された。えー、なんでガソリンよりはるかに高いんじゃ。ガソリン代、伊平屋島では1383円、伊是名島では807円。最小の島で最も高くつくとは思いもよらなかった。

出荷される牛を載せたトラックがフェリーの手前に停車していた。
昼メシは、港近くのとび吉という店でテイクアウトしてきた、レタス巻きといなり寿司、
各種天ぷら。魚、サツマイモ、カニカマ。全部で400円。

粟国島だけはお天気に恵まれた。おかげで宿とレンタカーは別にして、島の印象は最もよかった。とにかく念願の島巡りを無事に終えて、大満足なり。


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