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完成した姿 ~【櫻坂46】「1st YEAR ANNIV. LIVE」感想③『ジャマイカビール』初披露~

 先週開催された「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」は、話題にすべき内容が多すぎたこともあり、今回で3回目のライブレポとなる。

 今回は、小林さんの復帰について話していきたい。
 2日目の配信ライブに参加したことから、1日目の公式Twitterで小林さんが復帰されたこと自体は知っていたのだが、どのような形で復帰することになるのか、いろいろと想像を巡らせていた。
 休業前は、理佐さんと共に、フロントの位置で安定のパフォーマンスを見せてくれていた彼女のことである。特に何か構えた形ではなく、普通にそこにいるという形で合流してくるような気がしていた。
 いつも通り、「Overture」からライブが開始されたのだが、そこでは、小林さんの名前だけが、山﨑さんと一緒に登場するだけで、彼女の姿が映されることはなかった。
 1曲目の「BAN」では、全国ツアーと同様に、齋藤さんが小林さんのポジションでパフォーマンスをしている。
 これは、彼女のユニット曲「ジャマイカビール」までお預けパターン?と思いながら、ステージを見守っていた。
 1曲目が終わってから、MCとなり、そこでも依然として、小林さんは登場しない。その後、11曲目の「無言の宇宙」までMCを挟むことなく、怒濤の楽曲披露が展開されていく。櫻エイトである小林さんのポジションを代わりのメンバーがつとめていきながら、パフォーマンスが続いていく。
 「無言の宇宙」が始まり、田村さんの「必ず帰ってくる」という台詞が入る。今までの全国ツアーでは、どちらかと言うと悲しげな、それでいて、どこか確信を持った表情で台詞を言っていたのだが、今回は、もうありったけの笑顔である。シングルの中では、田村さんと小林さんが、この台詞を担当していることもあり、ツアーの間、ずっと1人でこの台詞を守ってきたのだが、「今回は違う」というのが、こちらにまで伝わってくる。

 「無言の宇宙」が終わり暗転。背景のLEDスクリーンが白く光る。
 そのスクリーンが二つに分かれると、そこには「Yui Kobayashi」という文字を背景にして、階段の上に小林さんが立っている。何を言うわけでもなく、ただそこにいるだけで、もう会場全体を支配している。
 小林さんがアップになり、音楽に合わせて、ゆっくりとしなやかに階段を降りてくる。長い金髪に、白のジャケットと黒のパンツスタイルということもあり、まるで宝塚の王子様のような登場である。相変わらず、長い脚と頭身のバランスが素晴らしい。多くを語らず、ハイレベルなパフォーマンスをしていくことで、後輩たちに手本を示してきた彼女らしい復帰の仕方である。
 バックに流れる音楽に合わせて、華麗で美しいダンスが始まる。その流れに合わせるように、藤吉さんと遠藤さんが合流し、「ジャマイカビール」の楽曲披露となる。3人とも、違うパターンのモノトーン衣装で踊っているのだが、元々、ダンススキルが高いメンバーによるユニットである。今までの櫻坂46のスタイルとは違う、妖艶かつクールなパフォーマンスということもあり、K-POPのボーイズグループのような雰囲気もある。楽曲自体も、非常におしゃれであるが、彼女たちのダンスによって、それがスマートで美しい、より洗練されたものに進化している。
 ミニライブの時には、まだ振り入れもしていないという話だったので、どうなるのか、とても楽しみにしていたのだが、こちらの予想や期待をはるかに上回るパフォーマンスを見せてくれたのが、本当に嬉しい。
 ここで改めて、小林さんがいないと、櫻坂46は成り立たないということを証明してくれたのが、今回の「ジャマイカビール」であった。
 ライブ後に、この曲の振付が、世界的なダンスパフォーマンスグループである「s**t kingz」によるものであることが発表されたが、このように世界レベルのサポートを受けながら、新しいことにチャレンジしていくことで、櫻坂46がますます進化していくことは間違いない。
 今回の「ジャマイカビール」は、彼女たちの明るい未来が感じられる、圧巻のパフォーマンスといえる見事な仕上がりであった。

 その後、MCの中で、メンバーの「おかえり~」という言葉に応えるように、小林さんが「お久しぶりです、小林由依です。このライブから少しずつ復帰したいと思います。櫻坂の2年目と一緒に私もスタートできればいいなと思います」という力強い発言をしてくれた。メンバーはもちろんファンも、彼女のこの言葉に、大きく安堵したことだろう。

 彼女の「少しずつ」という言葉の通り、小林さんの楽曲への合流は、ラストの「流れ弾」で実現する。
 3枚目シングルが出るタイミングで休業に入ってしまったことから、今までのライブや音楽番組では、小林さんのポジションをあけたパフォーマンスとなっていたのだが、ついに、完全な姿で楽曲が披露される時がきた。
 全国ツアーなどで、かなり完成度が高いものとなっていたように感じていたのだが、やはり、彼女が戻ってきたことで、今までが「完成」ではなかったことを思い知らされる。ダンスや歌だけでなく、表情という面でも、彼女の存在が重要であることを、今回のパフォーマンスで見せつけられた。これからの音楽番組やライブで、このパフォーマンスが味わえるのかと思うと、もう楽しみしかない。

 彼女の復帰によって、櫻坂46の表現の幅がさらに拡がり、世界を魅了するアーティストグループとして、進化し羽ばたいていくことを大いに期待している。


 

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