客単価重視型ビジネスのジレンマ

こんばんは、休日が続きすぎて、曜日と日付の感覚がない栗山陽輔です。

今日は数日前に予告した「客単価重視型ビジネスのジレンマ」というテーマでお話しさせていただきたいと思います。予告したのにもかかわらず、このテーマを扱うのが遅くなってしまって申し訳ありません。

テーマにジレンマという言葉を入れたのは、客単価重視型を僕自身が選択したというお話しなので、まるで客単価重視型の方が優れているかのように捉えてしまう方もいらっしゃるかもと思い、あえて入れておきました。以前の記事でも説明いたしましたが、これらはどちらが優れているというものではありません。売上は客数×客単価でできているという構造上、分けて考えることができるというものです。客数重視型にも良いところと悪いところがあるように、客単価重視も同様です。お間違いなきよう。

さて、客単価重視型。これを掘り下げると、本当に「ある人」の著作に書かれていることの受け売りになってしまう可能性があるのですが、あくまで僕の実感と納得を通して書いていきます。
世の中で、客単価重視型にあてはまるビジネスってなんでしょうか。物凄くわかりやすいのが、京都の祇園とかにある一見さんお断りのお店ですね。こういった店はあえて客数を抑えてしまうという差別化によって、顧客から高い単価を得られる構造です。つまり、顧客に自分は選ばれた人間であるとか、そういった意味も広く含めて満足度を格段に上げることに成功しているから、顧客は喜んで高い料金を支払うわけです。
他に考えられるのは、ディズニーランドなんかも実は客単価重視型ではないかと僕は思います。ディズニーランドに足を運ぶ人はとても多いですが、事業者側が本気で客数だけを増やそうと思ったら、日本にディズニーランドをたくさん建設することだって可能ですよね。もちろん色々な法的制約などもあるでしょうが、地方には土地が多く余っている場所だってたくさんあるのですから、今のディズニーランドよりも大型の施設を作ることは可能であるはずです。でもディズニーはそれをしない。あくまでディズニーランドは他のディズニーの事業である映画などとは違う、客単価重視、顧客の満足度、LTV(ライフタイムバリュー)というのを重視しているのですね。
ディズニーランドを例にすると話やすいので続けますと、ディズニーランドの凄いところはコアファンとそうではない人、いわばにわかファン、新規顧客などのあらゆる客層それぞれに満足感を与えるための構造ができているところなんです。
ディズニーランドの入場料は、大人と子供の区別はあれど、基本的に一律ですね。それで園内のアトラクションには乗り放題です。
しかしながら、ディズニーランドで一日遊んた顧客が落とすお金は、人によって違います。グッズを買い占めてミラコスタ等の高級ホテルに何日も泊まる人もいれば、遊ぶだけ遊んで帰って行く人もいる。年間パスポートなんてものを発行しても採算がとれるのは、コアファンの存在をしっかりと意識しているからですね。

このコアファンとそうではない人たちを、同時に満足させるのは実は至難の業です。ここに客単価重視型のジレンマがあると僕は思います。

演劇の公演をイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。そこそこ人気のある劇団の公演で考えてみてください。客席には、熱烈なコアファンと、ちょっと会場の前を通りがかって気まぐれで観に来た、たいして演劇に興味ない新規のお客さんが混じっている可能性があるわけです。ここでもし、この劇団の演目が、完全にコアファンを喜ばせるためのようなものだったら、新規のお客さんはどう感じるでしょうか? 考えるまでもないですね、興ざめする可能性が高いのです。 
あなたが新規客だとして想像してみてください。
見たこともない役者が登場しただけで客席が沸く。拍手が起きる。何やら「お約束」のような演者と客とのやりとりがある。全然意味がわからない「内輪受けネタ」で客席が大爆笑。
そして終演後にあらかじめ決められていたような二回、三回と続くカーテンコール。スタンディングオベーション。そのカーテンコールで舞台上の役者たちの内輪受けトークが始まり、さらに沸く客席。
あなたがその劇団の公演内容にそれほどまでに心打たれていたら、きっとそういったものも楽しめると思います。しかしこれらは、観客に120点ぐらいの感情を与えた時にだけ喜んでいただけるもの。ですからもし、何の前情報もなく芝居を見に来てくれた人が、初めてみたその劇団を「お、結構面白いな」と思ったとする。その人の中には80点ぐらいの感情が生まれていたとする。その時に、周りの客と、演者たちが120点の時のような浮かれ方をしているのを見ると、せっかくの80点が冷めてしまうのです。
これがですね、客単価重視だからとコアファンを喜ばせるために注力した際に起こりうるジレンマですね。新規顧客の獲得のハードルが高くなるのです。

客単価重視だからといって、客数はどうでもいいわけではありません。もちろん客数は必要です。結局は客数を増やすことも考えなければ事業は成り立ちません。その兼ね合いが難しいのですね。
ですから客数重視型か客単価重視型かはあくまで指標として、自分の活動は何を優先して考えるかの目安のようなものとしてとらえていくべきではないかと思います。

自分は何を優先するか。

しかしながらディズニーランドのように、新規顧客からコアファンまで満足させ、さらにその中には新規顧客をコアファンにまで成長させる「顧客の成長構造」までデザインできているのは本当にすごいことだなと、改めてディズニーの凄さを痛感している今日この頃です。

少し文章が走っている気がするのでまた今後じっくり考えていきたいテーマであります。

ちなみにですが、もっと詳しく知りたい方は是非この方のこの本をお勧めいたします。僕が影響を受けまくっている方の本です。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは皆さん、よい夢を。

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