意見なんてなくてもいい

今の若い方はもしかしたら知らないかもしれませんが、日本人は自分の意見が言えないと、昔はよく言われていた気がします。ですがSNSの普及によって状況は大きく変わったのではないかと思います。

こんばんは栗山陽輔です。今日は少し誤解されやすいテーマですが、「意見なんてなくてもいい」というテーマでお話しします。

SNSの普及で個人が自由に意見を発信できるようになった。ネット上は情報で溢れ、多くの人はそれぞれの見解を発信し、議論になればいいものの下手をすれば単なる言い争いになることもある。
話題には事欠かない。環境問題から動物愛護、芸能人のスキャンダルまで毎日毎日選り取り見取り。
ここで一つ理解しておくべき大切なことがあります。現代は情報に溢れた情報化社会だとされていることが多いですが、正確には、溢れているのは意見です。情報過多ではなく、意見過多社会であると言えます。

もちろん、自由に意見を言える社会というのは良いものだと思います。もっと正確に言うならば、自由に意見を言えない社会にはなってほしくないということです。
意見を言えない社会は自由な社会とは言いづらい。だから自由に意見が言えるSNSが爆発的に普及した。
そしてここが僕が一番言いたいことなのですが、自由に意見が言えるからといって、必ずしも意見を持たなければならないというわけではないと思うのです。

突然ですが、質問です。
あなたは昨今の人種差別問題について、どう考えますか?

人によって様々な意見があるでしょう。
僕はこのような問題について意見を求められたら、こう答えるだろうと思います。

「難しすぎるから、わからない」

これは最近話題になっていて、とても有名な本である「Think clearly」に書いてあったことや、他にもいくつかの著作や色々な方々の考え方を聞いたうえで、自分なりに考えてのことなのですが、僕自身は「わからないことには、わからないと答えるべきだ」と思っているのです。

人って、何かしらの問題に対して意見を求められると、何かしら答えたくなるものなんです。むしろ、何かしらの意見を言わなくてはいけないと思い込んでいる。何かコメントしなきゃいけないと思い込んでいる。これは冒頭に書いたように「意見がない日本人」みたいな風潮の反動のようなものでもあると思うのですが、全く自分が関わっていなくて、ほとんどわからないことでも、何かしらの意見を持たなくてはいけないような風潮になっている気がするのです。

いいですか? ほとんどわからないことに、意見を言おうとすると、人間はどういった判断基準で意見を言うでしょうか?

これ、実は、「好きか嫌いか」でしか言えないのです。つまりその対象に対して、「ポジティブかネガティブ、どちらの感情を抱いているか」しか言えないのです。

考えてみれば当然ですよね。だって詳しくないんだから。全然わからないんだから。それに対して何か言おうとしたら「好きだなぁ」とか「何か嫌ですね」とかしか言えないんですよ。
こんな言い方すると怒られるかもしれませんが、テレビのコメンテーターのコメントとかを冷静に聞いていると、こういったことしかコメントされていない方って、結構いらっしゃったりします。まぁコメンテーターはコメントするのが仕事なので仕方ないのかもしれませんが。

少し前に、何かの法案に賛成か反対かでSNS上で話題になったタグがありましたね。あれに対して、具体的な法案内容に触れずに反対意見を出していた人ってとても多かったと思うのです。あれはつまりネガティブな感情での意見を出しているからであって、「なんか嫌」という感情で反対していたのですね。
それに対してSNS上では「ちゃんと法案を読んでから意見しろ!」みたいな意見も見かけました。それ自体は正しいことだとは思います。

でもこれ、議論のそもそもの対象、というか、別の議論なんですね。

つまり前者は好きか嫌いかの議論をしているんです。
そして後者は正しいか間違いかの議論をしている。
つまりそれぞれの意見が全く違う場所で展開されているんです。そこのすり合わせがないから、SNSでの議論って発展しないんですよね。

もちろんこの文章も僕の勝手な意見ですので、それぞれに好きにすればいいと思うのですが、こういった考えの元、僕はここ最近はツイッターなどで、自分がよくわからない出来事に関して意見を言うことを辞めました。
もっと正確に言えば、何かしらの出来事が起こった時、それに対する意見を、一人の人間として持たなければならないという思い込みを捨てました。

わからないことはわからない。

それはそれでいいんじゃないかと思っている今日この頃です。
ちなみにツイッターで意見を言うことを辞めようと思ってから、僕は一切ツイートをしなくなりました。なんででしょうね。まぁ毎日のこの記事があるからかもしれませんが。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは皆さん、よい夢を。

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