ラストオブアス2の悲劇

こんにちは、今日は「ラストオブアス2の悲劇」というテーマでお話しさせていただきます。

趣味回です。
好き勝手しゃべります。ですが、物語の構成要素的なお話も含みます。

さて、このラストオブアス2。今月19日に発売されたPS4のゲームソフトであり、世界中のファンが待ち望んでいたビッグタイトルです。そして発売から数日後、ネット上の評価は荒れに荒れました。もちろん人によって評価は様々でしょうが、一部のゲームサイトでは10点中3点を付けられるような厳しい評価が下っています。

かくいう僕も四日程前にすでにこのゲームをクリアしていて、感想としては「残念だと言わざるを得ない」感じになっております。
以下の文章はネタバレを含み、さらにはプレイしたことのない人には伝わらないような書き方をすると思います。となると、ラスアス2をクリア後の人にしか向けていない文章になってしまうので、一体誰が読んでくれるのか謎ではありますが、書きたいので書くのである。そうだよ書きたいんだよ。

さて、この作品。いくつかのレビューもさらっと見てみましたが、どうにもやはりストーリーに対する意見が辛辣です。物語序盤で前作の主役であるジョエルが無残な死を迎え、もう一人の主人公であったエリーが復讐の旅に出る。一部ではここのジョエルが無駄死にだという意見もあるようですが、これ自体は僕は否定的な意見を持っていません。確かにかなり辛い展開ではありましたが、エリーに復讐という動機を持たせるのに衝撃的で十分な展開ではあります。
そしてここが一番の荒れポイントですが、物語が進むとプレイヤーはジョエルを殺した張本人であるアビー視点でゲームを進めることになる。この作品はこの点をものすごく叩かれていて、前作のファンはむしろ怒っていたりするのですが、構成自体は悪くないと僕は思っています。これまで憎き敵として認識して物語が進んでいたのに、突然敵側の視点から物語が改めて語られる。ジョエルの死からのエリー視点の数日が描かれた後、またジョエルの死からのアビー視点の数日が描かれる。
ジョエルを殺したアビーのことなんて、誰も知りたくありません。でもあえてここでアビー視点を持ってくるのなら、それ相応のものを期待してしまうのが観客でありプレイヤーです。
しかし、アビー編にはそこまでの構成がなかった。アビーを一人の人間として描きたかったのはわかるのですが、それはアビーを主人公としてまで描かなければいけないことなのか、という程度の構成でしかない。

そして、細かな要素はたくさんある気がするのですが、この作品全体を通して、もっとも失敗しているなと僕が感じたのは、終盤のエリーの再出発の描き方です。

この作品はエリー編→アビー編と続き、最後にまたエリー編が始まります。アビー編の後、エリーは束の間の平穏な生活を過ごす。だがアビーの現在の居場所の情報がもたらされると、再び復讐のために今の平穏な生活を捨て、アビーの足跡を追いかける。
個人的にこの展開が、この作品の一番失敗している構成だと思いました。何故ならこの時のエリーの動機はアビーに対する復讐だからです。
つまり、この作品の冒頭でエリーが最初に旅に出た時と全く同じ動機を再度抱えて再びアビーを追い始めたことになる。
これの何が問題かと言うと、これまでプレイヤーが経験してきたエリー編、アビー編のストーリーが、その時間が、全くの無に帰してしまったからです。エリーは全く成長せず、マイナスに落ちることもなく、変わらぬ動機を抱いてアビーを追いかけます。
これは極端に言えば夢オチに近いものがあり、観客に対する裏切りになってしまいます。「今までの時間は何だったの?」と。

他にも作品外の時間の獲得に失敗している部分など、細かいところに言及していくとキリがないですが、この作品は、仕掛け自体は悪くないしインパクトもあるけれど、それをやることによって一体何が表現したかったのかを問われる作品だと個人的には感じました。物語が破綻しているという意見も多いですが、個人的には破綻ではなく失敗であると思っています。何かをやろうとしたけれど、ことごとく失敗してしまったのではないかと。

ゲームシステム自体についての評価はそこそこ高いのですが、個人的にはどうにも繰り返しになってしまっている気がしないでもない…。どんな場面でもどんな敵相手でも、基本的にはステルスで行けるとこまで行って、後は強行で進めばなんとかなる。(難易度の問題かもだけど)また、前作のような狙撃パートが始めるかと思いきや、チュートリアル的なものだけで終わってしまったり肩透かしを食らう部分が少なくありません。

あまり作品に対して厳しい意見を言っても仕方がないのですが、この作品に関してはあまりにも期待が大きかった分、世界中のファンの落胆は大きいようで、僕もそのうちの一人であるのだなと感じている今日この頃です。

ですが個人的にはこういった作品があると、「この物語の問題点は何だ?」と考えるきっかけにもなるので、次回作に再び期待したいと思っております。ラストオブアスの続編は現実的に厳しくなるでしょうが、また新たな名作を世に送り出してほしい。

しかしゲームというものに対して、その物語に対して、これほどに議論が白熱するものなのだなと、現代のゲームのエンターテイメント性が如何に発達しているか実感できるなと思っております。

完全な趣味回でした。こんな日もあります。

それでは皆さん、よい夢を。

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