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映画というコンテンツの価値を整理する

こんばんは、三十三歳になっても夕方の挨拶を「こんにちは」か「こんばんは」かで迷ってしまう栗山陽輔です。

今日は「コンテンツの価値を整理する」というテーマでお話しさせていただきます。

僕は基本的に毎日、運動不足解消のため近所の田んぼが広がる田舎道を一時間ぐらい歩いているのですが、そんな田舎の風景を眺めながら、今の時代での映画というコンテンツの価値について漠然と考えていました。

ここで考えていたのは、映画というコンテンツ自体の価値とは少し違って、今の時代の中で、映画というエンターテイメントがどんな価値観を世間に与えているかということです。

つまりどういうことかと順番に考えていきますと、まず僕が住んでいる田舎にだって、一応ちゃんとした映画館があります。イオンシネマとかのシネコンもちゃんとあって、日常的に映画を観に行くことができる。でも、ミニシアターというものはありません。このことを、僕は都会に住んでいた時と比べて、田舎の不便なところだなと思っていたのですが、改めて考えてみると、ミニシアターが生活圏内にあることで、いいことってなんでしょうか?

当たり前ですが、シネコンで上映されるようなメジャー作品ではない作品が上映されていること。つまりはそれらのちょっとマイナーな作品を観れることですね。
ですが、これもちょっと考えれば当たり前なんですが、基本的に映画って今は家でも見れますよね。ネットフリックスとかアマゾンもあるし、DVDのレンタルだってある。
まぁ結局何が言いたいかといいますと、映画館で映画を観ることに対する価値と言うのは、今は「新作」が観れることだけになっている部分があるのですね。
こういうこと言いますと、「いや映画館でしか感じられない映像の迫力とか音響とか」という意見ももちろんあるでしょうが、それが通用するのでしたら、現代においてこれ程まで家で映画を観れる環境は整わないだろうと思うのです。
つまり、映画館の迫力とかを求めている人も確かにいるし、そのことは多くの人も理解しているだろうけれど、多くの人にとっては映画館で観ることも、家で観ることも、本当のところは大差ないと感じているのではないかと思えます。
繰り返しになりますが、ネットフリックスなどの事業が大きくなっているのがその証拠です。

ここで映画館に話を戻しますと、映画館で映画を観ることにおける価値というのは、現代においては「新作」であること、つまりは提供時期の早さです。数か月か、遅くても2,3年後には家で簡単に観ることができる作品を、早く観れる。そのことに意味があるのですね。

が、考えてみると、映画というコンテンツ自体に、そこまで「早く観れること」に価値があるでしょうか?
何十年も前の映画を観れば、さすがに「古臭い」何かを感じることがあると思います。ですが、数か月前、数年前の映画を観て、数年前だから映画としての価値が落ちていると感じる観客はいるでしょうか。四年前に観るシン・ゴジラと、今初めて観るシン・ゴジラにそれ程の差が生まれるでしょうか。
こんな言い方をしていると誤解されるかもしれないですが、これは素晴らしいことだと僕は思っているのです。映画というコンテンツは、完成された作品は、価値の劣化の速度がとても緩やかであり、テレビのニュースや情報のようにあっという間に価値を失うものではないということ。

だからこそ、だからこそです。
映画館で新作を早く観れる価値というのが、薄れているのではないかと。いや、薄れているというか、映画館で映画を観れることの価値が「新作」と「早さ」に重きが置かれてしまっているから、ネットフリックス等に水をあけられてしまう部分があるのではないかと。

そうやって考えると、ヒット作の続編には、観客の皆さんの心に「早く続きを観たい」という感情が生まれていることが多いから、観客動員が多くのなるのではないかと思ったりしています。少し前の話ですが例えば、アヴェンジャーズシリーズをずっと見ていた人が、映画館でエンドゲームが公開されたとき、「早く観たい」から映画館に足を運んだ人も多いのではないかと思うのですね。
そう考えると、昨今の映画が続編やリメイクばかりになる理由も別の角度から納得できるような気がします。というか、何故ヒット作の続編がヒットするのかと言えるかもしれません。

映画館離れという言葉も生まれているようですが、映画館の価値を見直すならば、「早く観ること」に価値があるコンテンツである映画を作るか、「早く観れること」意外の価値を映画館に発生させる必要性があるんじゃないかと考えています。

今の情勢もあり、映画館や劇場の経営というのは中々厳しい状況にあるでしょうが、この騒動もあいまって、家で楽しめるエンタメの価値を多くの方が再認識した可能性もあるので、次の一手が生まれてきたら面白いのになと思っている今日この頃です。

でも「早く観ること」に価値がある映画って、確かに続編ぐらいしかないような気がするので、かなり厳しい道のりではないかと思ったりしています。

体験価値を付けることが第一だと思うけれど、どうやって映画館に体験を上乗せするかな。それはたぶん全体的な話じゃなくて、個々の具体性を考えていかなければいけない気がします。

一応自主映画監督と自己紹介文に書いている一人として、無関係な話ではないと自分勝手に思っております。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは皆さん、よい夢を。

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