クリエイションに関係するお金の話

こんにちは、今日は少し前にとある若者と話した際に関心したことについて書いてみようと思います。

その彼は、僕とは違う分野で活動しています。
これまでフリーターとして生活費を稼ぎながら、自分の活動に勤しんでいたのですが、先日話した際に、もうフリーターで生活費を稼いでいくことはやめて、自分の活動の仕方も考えなおしていこうという意志を聞き、僕はその考えに関心して応援したのですね。

つまり何が言いたいのかといいますと、今日のテーマは「クリエイションに関係するお金」の話です。

ここからは僕の話になるのですが、僕は自主映画を撮り始める前の若い頃は役者として活動していました。
当然というかなんというか、食べていける程のレベルには全く達していなかったので、アルバイトをしながら食いつなぐ生活が、十年程は続いていたでしょうか。
まずは大阪、その後に東京に活動拠点を移し、アパートを借りて一人暮らしをしながら、数少ない現場で役を得たりえなかったりしながら活動を続けていたのですね。

結構シビアな数字を出しますが、その頃の僕の生活費は、一日800円でした。
つまりアルバイトで稼いだ一月分の給料から家賃や光熱費や税金などの固定費を引き、さらに稽古場や劇場、事務所へ通うための交通費を引いて、残った分の生活費が一日で800円しかなかったということです。
当然ですが、ここから食費も出さなければいけないですし、生活必需品も買わなければいけません。
当時の僕以上にお金を使えない生活をしている方もいらっしゃるでしょうが、ここで言いたいことは貧乏さの自慢ではありません。

クリエイションに関係するお金の話です。

ざっくりわかりやすくいいますと、こういった生活をしている時の僕は「お金がないから何かをできない」という機会、経験がとても多かったのですね。

先輩から飲みに誘われた。でもお金がないから断る。
友人から面白い映画を紹介された。でもお金がないから行けない。
素敵な異性と話しているうちに、どこか遊びに行こうと誘いたいけれど、お金がないから誘うこともできない。
近所の美術館で興味のある美術展がやっているが、行けない。

もちろん必ずしもそうだったというものではなく、時期にもよりましたが、こういった「ある程度のお金があったら経験できたであろう経験ができない」という機会はとても多かった気がするのです。

そして何かの物事に関する経験値の差というのは、クリエイションに何かしらの影響をもたらします。

こういった経験ではわかりづらいかもしれませんが、他にお金に関する問題で影響が大きく、さらに多くの人が忘れているのが「疲れ」です。

お金をかける代わりに時間をかけることで解決できる種類の問題というのは社会には多く存在しまして、時間をかけることで節約していると考えると、その側面としてはいいことだと考えることもできるでしょうが、そこで生まれた疲れやストレスや時間の余裕のなさのようなものは、クリエイションへの影響があります。

そもそも、クリエイションのために時間を確保するためにフリーター等の不安定だけれども融通の利く仕事をしているにも関わらず、節約して生活していくことが目的化してしまっている場合もあるのですね。

もちろん、ほとんどお金を掛けずに工夫してできることもたくさんあります。図書館もかなり利用していましたし、映画はレンタルの旧作を。そういった方法論もあるにはあります。

ですが、絶対的な人生経験というものが狭められてしまう可能性もあることは、考慮しておくべきではないかなと僕は思います。

役者とかやっていると、相手のスケジュールに自分を合わせていかなきゃいけない場面というのが多々あるので、難しいんですがね。
でも、お金がある程度あるからこそできることってのも意識していきたい今日この頃です。

冒頭の若者のことを応援したのは、そういった経験や自分の行動を範囲を広めながら、自分なりのクリエイションを頑張っていきたいという姿勢だったからです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは皆さん、よい夢を。

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