逆転のゲーミフィケーション

ドラクエみたいに敵に勝ったら経験値がもらえてレベルが上がって、お金ももらえて強い武器が買えて、どんどん強くなって最後には魔王も倒せるようになる世界に憧れたことは誰でも一度はあるのではないでしょうか?
現実もゲームの世界のように単純でわかりやすかったらいいのにと思ったことはありませんか? 僕は何度もあります。

こんにちは栗山陽輔です。
今日は「逆転のゲーミフィケーション」というテーマでお話しさせていただきます。僕が昔の職場でアルバイトの学生たちに提案して中々に好評だったゲーミフィケーションの内容についてお話ししていきます。

そもそもゲーミフィケーションとは、現実をゲーム化する考え方のようなものです。かなり広義な言葉なのですが、現実にゲーム世界のような定義を持ち込んだりすることもそうですし、物事をちょっとしたゲームに見立てて遊びのようなものにすることもゲーミフィケーションです。
例えば小学生が虫取りに行って、「カブトムシは3点、クワガタは2点で、合計の点が一番が高かったやつが優勝な! 優勝したら、みんなからジュース驕ってもらえる!」みたいなものもそうですし、保険会社の営業マンが「一日に契約ゼロだったらその日の夕飯は自炊! 二件契約取れたら寿司! 三件取れたらキャバクラに行く!」とかいう考え方も広い意味ではゲーミフィケーションです。

明確な条件を設定したポイント制にして、そのポイントに応じてこれまた明確な報酬を設定する。
こういったゲーミフィケーションをすることによって日常の出来事や仕事を楽しいものに変えていこうとする考え方ですね。

さてここからが主題。僕がアルバイトの学生たちに提案したゲーミフィケーションの具体的な内容です。

ことの発端は、アルバイトの学生たちが就職活動に悩んでいたことでした。どんな会社に就職するべきかとか、自分にはどんな仕事が向いているかという真っ当な悩みではなく、単純に「就活めんどいな、嫌だな、やりたくないなぁ」という気持ちを包み隠さず正直に話していた彼らに対し、僕はゲーミフィケーションで対応したらどうかと提案したのですね。

さぁ就職活動におけるゲーミフィケーション。どんな設定が可能でしょうか?

一番簡単なのは第一志望の就職先に内定したら報酬を得られるというものです。
第一志望に関わらず、内定の数をポイント制にしてもいいかもしれない。
しかしながら、この設定で学生たちのモチベーションは上がるでしょうか? いいえ、上がりません。
彼らは面倒であることに加え、受けた会社から落とされるのが嫌なんです。面接までして落とされるのはショックですし、どうせ落とされるなら書類書いたり、面接を受けるなどの無駄な労力も掛けたくありません。

そんなことは想像にたやすいので、僕がこの時提案したのが「逆転のゲーミフィケーション」です。いや、大仰な言い方をしていますが、ちょっと考え方を変えただけです。
ゲーミフィケーションにおけるポイント制を、ポジティブな瞬間ではなく、ネガティブな瞬間にしてしまおうというものです。

内定などのポジティブな何かを達成したときの報酬ではなく、不採用などのネガティブな条件でポイントが発生するというものです。ネガティブであればあるほど得られるポイントも多い。

具体的に言うなら書類送って書類選考で落ちたら1点。一次面接で落ちたら2点。二次で落ちたら3点。最終面接で落ちたら4点という風に設定する。それで10点貯まるごとにキャバクラに一回行ってもいいみたいな設定にするのです。
そうしたら、どうなると思いますか? 

ほんの少しかもしれませんが、行動力が上がる可能性があるのです。
「あそことあそこは一次で落ちた。あそこは書類で落ちた。もう一つは最終まで行ったけど落ちた。結果待ちがあと一つあるけど、ここは手応えがあって受かりそうだ。となると今9点だな。…よし、もう一つ受けておくか」という風に、本来ならあまり受かりそうにない自分のレベルよりも高い会社に書類を出したりする可能性が高まってくるのです。
一応ルールとして、書類を送るだけではポイントにならないのが肝だったりします。それだったら最初から10社受けることに決めておいて、送ってしまえば10点になってしまう。でも、落ちたらポイントにすると、最初10社だけ考えていたけれど、もう1社送ろうかと考えていく可能性があるのですね。
キャバクラ行きたいがために、もう1社に履歴書送るとかどんだけ行きたいねんっていう感じですが。まぁ考え方の話ですからね。

ちなみに僕もこの考え方を採用して、自作を映画祭に応募したりしています。
映画祭の応募書類とか素材を用意するのって、かなりの重労働なのです。何故なら成果に繋がるかわからないものなので、精神的に重さがあったりするんですね。それぞれに細かい設定や文字数やテンプレートなどに注意して用意して、DVDなどの素材も、名前の書き方もそれぞれ指定の方法を間違えないように気をつかって…と、かなり大変です。それでも当然ながら入選するかどうかなんてわからない。
なので僕はこの時に例のゲーミフィケーションを採用して、応募したけれど落選した映画祭の数をポイントにして、報酬を設定していました。そうするとね、やっぱり通りそうもない映画祭にも応募しちゃったりするんですよ。
一応断っておきますが、僕の設定報酬はキャバクラではないです。あしからず。

ドラクエみたいにね、勝つことによって経験値とお金とアイテムが手に入るならいいけれど、現実ではまず勝つことが難しいですからね。全力で負けた数がポイントになれば、もうちょっと頑張れるもんだよねと考えている今日この頃です。

ちなみにですが、僕は人生でキャバクラというものに行ったことがありません。初対面の人と二人で至近距離で会話するとか、緊張するじゃないですか。しかも相手が艶やかに着飾った女性だとか、まじで何を話していいかわからなくて怖いからです。
いつか経験豊富な先輩の誰かに連れて行ってほしいものです。怖いけど。僕は何の話をしているんだ?

それでは皆さん、よい夢を。

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