好きは一つじゃなくていい

こんばんは、ツイッターのおすすめユーザー欄になんだか見覚えある名前が表示されて、誰だっけと思ってその人のプロフィールを見たら大学時代の同級生であることがわかって驚いている栗山陽輔です。あの子タレントになってたのか。

さてさて、今日は「好きは一つじゃなくていい」というテーマでお話しさせていただきたいと思います。

昨日書いた内容にも通じることなのですが、一つのことで渡り歩くのは今の時代はかなり厳しい状況です。そして僕自身がそうだったからわかることなのですが、何かの活動をしている人というのは、その一つだけに専念しなければならないと思ってしまうことが多々あります。実際、僕は役者時代に活動場所を大阪から東京に移した際、もう芝居以外のことは一切やらないと心に決めて活動していました。それくらいやらなきゃ芝居の世界では通用しないと思い込んでいたからです。この判断は間違っていたとは言いませんが、かなり厳しい選択をしてしまっていたと、今となっては思えます。

希少性ですね。とても簡単な話です。

役者だけをやってきた役者と、何か他に得意分野のある役者、どちらの方が仕事がまわってくることが多いかと言えば後者だろうなと僕は思います。そしてその得意分野は役者と関係ないことであればあるほどいい。何故なら珍しいから。珍しいということは競合相手が少なくて済むということです。
もちろん役者だけを頑張っている人を否定する意図は一切ありません。芝居が好きで、その思いを大事にして一生懸命努力してる人は素敵だと思いますが、同じような思いを抱いて同じような努力をしている人はとても多いということです。その中で、どうやって自分を選んでもらうか。難しいですよね。
でも得意分野を他に持っている人はとにかく強い。
鉄道マニアでありながら役者をやっていたりする人は、鉄道関係の物語で役がまわってくる可能性は高いです。筋トレマニアの役者はそれはそれで面白いですし(実際に筋トレマニアの落語家さんで有名な方もいらっしゃる)、もっと専門知識を備えているような、例えば医者でありながら役者をやっていたりしたら物凄い個性です。

これは物語におけるキャラ起て(キャラ立て)にも通ずる部分があります。キャラ起てとは何かというのは、漫画原作者の小池一夫先生の著作を読んでいただくのが一番だと思いますが、愛される物語には魅力的なキャラクターの存在が不可欠だというものです。そしてキャラを起てる(小池先生は起承転結の起はキャラを起てることだとされています)ために必要な要素のひとつが普通ではない何かの掛け合わせです。

○○なのに△△である。所謂ギャップですね。これがそのキャラの魅力に繋がるのです。

子連れ狼の拝一刀は刺客なのに子連れです。
東京喰種の金木君は人間なのに喰種です。
ニセコイの楽はヤクザの二代目なのに公務員を目指してます。
ジョジョの吉良吉影は静かに暮らしたいのに殺人鬼です。
最終兵器彼女のちせは彼女なのに最終兵器です。
ラムちゃんは可愛いのに宇宙人だし、らんまは男なのに女で犬夜叉は妖怪なのに、ですね。
コナンも大人なのに子供です。
悟空は何でしょう。戦闘民族なのに優しい、でしょうか。

これは漫画に限りません。去年話題をさらった映画「ジョーカー」の主人公は心優しい男なのに悪のカリスマになった人物です。

もちろんキャラの魅力はそれだけではありません。けれどもこういったギャップの使い方はとても重要です。

少し遠回りをしてしまいましたが、僕が言いたいことは単純です。一つのことを好きで貫いてもいいし、いくつもの好きがあることも魅力に繋がる。
けれども何かを頑張ろうとしたときの人間は、他の好きを切り離さなければならないと思い込んでしまう人がとても多い。何故なら、周りに一つのことで頑張っている人が多いからです。

僕自身が役者時代に役者以外を切り離してしまったのは、周りにいる人たちが本当に芝居が好きで、一意専心している方々がとても多く、その方たちと渡り合っていくためには他のことなんて考えてはいけないと思い込んでいたからです。

間違いではないです。でも、それは多くと人と同じ戦い方を選ぶということ。同じ戦場で戦うということ。当然ながら生き残る確率は減るでしょう。

けれども他の分野をもっているのなら、それを活かした方がいい。絶対にその方が生き残る確率が上がる。それはあなたの個性になり得る。

僕は自主映画監督なんてものをしているので、自分の作品のキャスティングは自分の仕事です。多くの自主映画監督もそうだと思いますが、いつもいい役者はいないかと思って探しています。映画祭で他の作品を観ながら、どんな役者がいるかを探したりすることもあります。素敵な人がいたら自作にも出演してもらいたいと思うことだってあります。
ですが、例えば女優さんなら、そこそこ芝居もうまくて美人で可愛いという人は本当に本当に本当に多いです。その中から誰を選ぶなんてことは中々できません。だからキャスティングって難しいのですが、逆に言えば「こういう役をお願いするなら絶対に○○さんだよな」と思わせられれば仕事は絶対に増えます。それは自主映画界だろうと商業映画界だろうと同じだと思います。自分自身のキャラ起てを意識することは大事だと思います。

無理に他の分野を考える必要もないと思います。でも他の好きを切り離す必要は全くないことを少しでも理解していると、精神的にも楽になるはずなんだよなぁと考えている今日この頃です。

人間の魅力についてはまた後日にもっと掘り下げて考えていきたいと思います。

それでは皆さん、よい夢を。

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