見出し画像

重賞勝ち馬考察:ソーダズリング(京都牝馬S)

父:ハーツクライ
母:ソーマジック
母父:シンボリクリスエス


 冒頭から話が横道にそれますが、ちょっとおもしろいネタがあるので先に紹介したいと思います。シンボリクリスエス産駒の傾向についてです。

 シンボリクリスエスという種牡馬は、父として送り出した活躍馬のほとんどが牡馬に偏っています。バイアスを跳ね返して中央のOPを勝った牝馬は、たった6頭しかいません(重賞勝ちはゼロ)。ところがその6頭は、すべて繁殖牝馬になったあと、母として3勝以上の競走馬をだしているのです。

 なかでも突出して優れた繁殖実績を残しているのがソーマジック。つまり本馬の母です。現役時代はアネモネSを勝った競走馬でした。母として本馬のほかにも、マジックキャッスル、ソーヴァリアント、ソーグリッタリングなど多くの大物を輩出。7頭中6頭を勝ち上がらせています。
 

シンボリクリスエス産駒でOPを勝った牝馬の繁殖成績(※3勝クラス以上の産駒を抜粋)


 さてここから本題に戻り、本馬の考察に入りたいと思います。 

 本馬の父・ハーツクライは欧州の重厚な底力に富んだ種牡馬。ただしトニービン特有の体質の緩さを伝えるところがあります。一方、母の父のシンボリクリスエスはパワー型のアメリカ血統。ハーツがもたない米血を補給するのと同時に、パワーによって緩さを引き締める役割を担っています。ハーツの不足部分をしっかりとカバーした好バランスの組み合わせです。

 本馬の場合は2代母の父にもパワー血統のフェアリーキングを据えており、全体をパワー寄りにまとめています。どちらかと言えば母方の影響が強いようで、ハーツらしさは薄めです。小刻みに脚を回転させて走る機動力型。半兄のソーヴァリアントにも言えることですが、本質的には小回り向きのタイプではないかと思います。

 個人的には詰めの甘い中距離馬という印象をもっていたのですが、それは見当違いでした。単純に適性があっていなかったようです。千四でここまで強い競馬ができるということは、本馬はフェアリーキングのピリッとしたスピードが色濃く表現された競走馬なのでしょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?