モーリスの現状を考える

 モーリスは現役時代に国内・海外あわせてGⅠ6勝を挙げた名馬。大きな期待をもって種牡馬入りしました。今年の2歳世代が産駒デビューの年ということで、POG本でもかなりのページ数を割いて扱われており、トップクラスの待遇を受けています。

 ところが、現時点での産駒の競走成績は(0ー4-3-13)。いまだに勝利がありません。デビューした馬たちは、GⅠ6勝馬ブエナビスタの子・ブエナベントゥーラ(新馬戦2着)や、エアグルーヴ牝系出身のレガトゥス(同6着)とカランドゥーラ(同2着)、重賞2勝馬ドナウブルーの子・ドナウエレン(同5着)など錚々たる顔ぶれです。新馬戦が始まってまだ1ヶ月とはいえ、期待の良血馬を送り込んでの結果だけに、これは予想外でした。今期POGは波乱含みの幕開けとなりましたね。

 この現状を踏まえて、モーリスの傾向を僕なりに考えてみることにします。新種牡馬の考察なので、あくまでも推測になってしまうことをご理解ください😌


★晩成型?

 モーリス自身の競走成績を見ると、3歳春までは万両賞(500万下)を勝ったのみで、POG期間は2勝どまりでした。本格化したのは明け4歳。ここから4連勝でGⅠ安田記念を制し、その後もGⅠ5勝を含むオール連対で競走生活を終えています。
 父のスクリーンヒーローも現役時代は古馬になって覚醒した馬でしたし、産駒も早期からバリバリ仕上がるようなタイプではありません。そう考えると、モーリス産駒も本質的にはじっくりと力をつけていくタイプなのでしょうか。


★カーネギー“らしさ”の顕在化?

 競走馬としてのモーリスは、母の父カーネギーのパワーを推進力へと昇華させることで、マイル~二千の突進力として活かしていました。しかし種牡馬としては、このパワーを重厚な底力として、スタミナ寄りにシフトさせた状態で伝えている印象があります。カーネギーは凱旋門賞勝った馬で、またその母デトロワも同レースを制しています。本来はこっちのほうが自然な適性と言えるでしょう。カーネギー“らしさ”が顕在化したことで、スピードが薄れているのかもしれません。


★モデルスポートの影響力の衰え

 前述の内容にもつながる話ですが、現役時代のモーリスにおいて、カーネギーがスタミナではなく突進力を伝えることができていたのは、スクリーンヒーローの3代母のモデルスポートが俊敏なスピードを“字面以上に”サポートしていたことが大きく影響しています。僕の師匠・望田潤さんは、以前ブログでこのように仰っていました。

ルーカスは全兄モーリスとはタイプが違うというか、そもそもこの血統でモーリスみたいなのが出るのが変態なわけで、ルーカスのほうはRoberto×Sadler's Wellsの血統どおりのパワー中距離馬


 「空を飛ぶ」と称されるほど切れ味に優れたディープインパクトも、祖父や母の父の位置に下がると重厚化します(詳細は下記の同人誌をご参照ください)。個人的な感覚ではありますが、ある種の突然変異的に発現した軽さ・瞬発力は、代が下がることで減退する度合いが大きいように感じます。この影響がモーリス(のモデルスポート)にも起こったことで、カーネギーのスタミナ化がより際立っている可能性はありそうです。



★パワー増幅か、柔らかさ増幅か

 新馬戦が開幕する前の段階では、モーリスの突進力をさらにパワーで後押しすることで、長所を磨き上げることができるのではないかと考えていました。しかし想像していたよりパワーをスピードとして伝えてくれないのであれば、プラスになるのか不安にはなりますね。新馬戦で勝てはしなかったものの、2着に健闘したブエナベントゥーラのように、柔らかさを中心に据えたほうが良いのかもしれないな・・・と、ちょっと考えが揺らいでいます。


★生粋のスピードが必要?

 パワーか柔らかさかの前に、根本的に「脚が速い」血を補給することが、POGにおいては大切である可能性もありそうです。例えばミスプロ系のスピード血統「フォーティナイナー」などは良さそうで、この血をもつウインメイユールは新馬戦で2着になっています。
 ただモーリスは種牡馬としての待遇が良すぎるがゆえに、交配される繁殖牝馬は本格的なクラシック向きのタイプが多く、脚の速さを売りにするような配合馬がそこまで多くないんですよね😅


 以上で考察は終了です。ここまでの内容が正しいのかはわかりませんが、いずれにしても産駒が頑張ってくれないことには検証すらできません。明日は未勝利戦に出走するマジカルステージが人気になりそうですので、まずは1つ勝ち星を挙げてもらって、きっかけを作ってほしいですね。

 お付き合いくださりありがとうございました😌


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