見出し画像

母の父ディープインパクトについて考える(牡馬編1)

 最近は母の父にディープインパクトをもつ活躍馬が増えてきましたね。これを機にいろいろと考えてみることにしました。じっくりと書きたいので、牡馬と牝馬に分けて考察したいと思います。今回は牡馬編のパート1です。


ブラックタイド化

 ディープインパクトは卓越した切れ味を武器にした競走馬。現役時代は “空を飛ぶ”と称されたほどです。種牡馬としてもその特徴は健在。産駒が挙げた勝ち星の9割近くを芝で占めており、瞬発力に優れた活躍馬を数多く輩出しました。

 ディープに伝わる切れ味は、ある意味では突然変異的なところがあります。ディープの全兄であるブラックタイドは、100%おなじ血統構成なのに、空を飛ぶとは言われないですよね? 血統自体は重厚な底力に富んだ構成。どちらかと言えば、字面通りに表現されたのは兄のほうであり、弟は異端な存在だったのです。

 そんなディープインパクトですが、母の父になると傾向が変わります。ディープらしい切れ味を受け継いだ正統派は少なめ、むしろパワーを武器にするタイプが多いです。母の父ディープ産駒で最初に重賞を勝ったキセキは、その変容を象徴する競走馬と言えます。タフな底力に富んだ競走馬で、勝利した菊花賞はドロドロの不良馬場でした。

 母の父としてのディープインパクトを、かつてのイメージで捉えるべきではありません。字面どおりの重厚寄りに原点回帰して、兄に近い資質を伝えるようになる。この感覚で血統表をみるべきでしょう。ディープは母父になるとブラックタイド化する。これが一番のポイントです。


欧州の底力が持ち味

 母の父としてのディープインパクトが伝える重厚感。これは祖母のバークレアが源泉となっています。バークレアの父はキングジョージの勝ち馬・バステッド。さらに血統内にフェアトライアルを3本、ハイペリオンを2本内包しています。パワーとスタミナに特化した構成。欧州の底力の塊です。

 父としてのディープは素軽さと瞬発力を武器に、芝路線を完全に掌握していました。その要素が衰えた母父としてのディープは、そこまでの圧倒的な影響力は見せません。ただし重厚化したと言っても、日本向きのスピードはしっかりと備わっています。血統そのものは上質なS級構成。これからは底力のサポート役として存在感を見せていくと思います。


 次回は母の父ディープインパクトの効果的な活用方法についてのお話しです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?