【POG考察】ダノンキラウェア
NHKマイルCの勝ち馬・ダノンスコーピオンの全弟です。兄のことは、これまで何度も考察してきました。弟のデビューを機に、あらためてこの血統の特徴をおさらいしたいと思います。
父:ロードカナロア
母:レキシールー
母父:Sligo Bay
ロードカナロア×母の父スライゴベイ
父のロードカナロアは、現役時代にマイル以下のGⅠを6勝。言わずとしれた歴史的な短距離馬です。母の父のスライゴベイは、北米GⅠのハリウッドターフC(芝12F)を勝った馬。サドラーズウェルズ系らしいパワーやスタミナを持ち味としています。父のスピードを母父の底力が支える、バランスの取れた構成です。
「ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ」の近親クロス
本馬は「ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ」5×3の近親クロスを内包。重厚なパワーを増幅させています。カナロアが種牡馬デビューした当初、この仕掛けはあまり良いイメージがありませんでした。ところが近年は逆に好相性のパターンとして定着しています。詳細は過去に投稿した記事をお読みください。
本馬はこのクロス以外に目立った仕掛けをもちません。そのぶん「ヌレ≒サド」がダイレクトに反映されやすい血統構成と言えます。ロードカナロアの配合的にみて、これはプラスとみていいでしょう。
3代母の父が伝えるラウンドテーブル資質
兄のダノンスコーピオンはゴーサインを出したとき、エンジンの掛かりがやや遅いタイプでした。おそらく3代母の父のサンオブブライアーティックが2本もつ、ラウンドテーブルが原因ではないかと考えられます。ラウンドテーブルはスピードをだらだらと持続させる特性を伝える血。そのぶん緩慢さ纏っており、ピリッとしない一面も持ち合わせているためです。
ただし前述の「ヌレ≒サド」のパワーがしっかりと効いているため、空回りで終わらないのがこの配合の強みです。スピードの乗りが良くなくても、その後は脚を長く使うことができます。総合的な決め手性能という意味で、(サンオブブライアーティックの)ラウンドテーブル資質がもたらす効果は大きいはずです。
兄と弟はおなじタイプになるのか
前述のとおり、兄のダノンスコーピオンは「ヌレ≒サド」のパワーをベースにしつつ、ラウンドテーブルの惰性力を決め手に繋げたタイプでした。しかし弟の本馬が、おなじキャラになるとはかぎりません。構成上「ヌレ≒サド」は濃くでるはずですが、ラウンドテーブルがどのくらい表面化するかは、なんとも言えないところです。
ただ追い切りの映像をみると、脚さばきは結構ヌルっとしていますね。この滑らかさは「ヌレ≒サド」のゴツさでは表現できない感じがします。ラウンドテーブル要素もそれなりに伝わっているのではないでしょうか。
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