ロードカナロア考察(8) ~コーモラントとシャーペンアップの同調~

★コーモラントの特徴

 ロードカナロアの2代母の父である『コーモラント』。この血は「ヒズマジェスティ×テューダーミンストレル」という、欧州の重厚な資質を中心に構成されています。パワーと底力に秀でた存在で、ロードカナロアの体幹の強さを支える影の立役者です。

 種牡馬カナロア視点で見た場合、おなじパワー血統のヌレイエフやセックスアピールは配合上の主役として活用されています。それに比べるとコーモラントはあまり目立たず、表舞台に立つことは多くありません。


★シャーペンアップとの同調

 そんななか、コーモラントをひときわ輝かせるパターンがひとつあります。それは『シャーペンアップ』の血を組み合わせる方法です。

 コーモラントとシャーペンアップは近親関係ではなく、ニアリークロスなどでわかりやすく脈絡しているわけでもありません。ただし、以下のように共通する点がいくつかあり、それを接点にして繋がっています。

・欧血中心のパワー血統
 前述のようにコーモラントは欧州の重厚な構成をしていますが、シャーペンアップも同様に欧州のパワー血統が中心です。
・テューダーミンストレル内包
 コーモラントとシャーペンアップはどちらも血統内にテューダーミンストレルをもっています。強靭なパワーの源泉とする大きな影響力をもつ血で、その資質を受け継ぐ仲間同士といえます。
・ハイペリオンのクロスもち
 コーモラントはハイペリオン4×4のクロスをもち、シャーペンアップもまたおなじクロスの5×3になっています。タフな欧血をクロスによって増幅していることも一緒です。


 このように両者は血統構成に共通点が多く、伝える資質も似ています。そのため同調しやすい関係なのです。

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★性別によって効果が違う

 ロードカナロア(コーモラント)とシャーペンアップの組み合わせは、牡駒か牝駒かで効果が変わります。結構大きな違いですので覚えておきましょう。

・牡駒の場合
 該当馬14頭中10頭が勝ち馬。これはニックスと言ってもいいかもしれません。まだオープンクラスでの実績はなく、現状は打率重視の印象が強いです。ただ3勝馬が5頭もいますし、いずれは大物も出るのではないでしょうか。
 興味深いのは、長めの距離を得意とするタイプが多い点です。該当馬が挙げた23の勝ち星のうち、14勝が1800m以上。実績上位馬についても、レッドサイオンは4勝のうち3勝が1800m以上。レッドアルマーダも3勝すべて1800m以上。ニューポートに至っては2200mで3勝を挙げています。シャーペンアップ自体はスピードも兼備していますが、この組み合わせに関しては、コーモラントの重厚さがスタミナとして発現しやすいようです。
・牝駒の場合
 勝ち馬は24頭中9頭と、牡駒ほどは目立たず。恩恵という点では牡駒限定という感じに捉えたほうがいいかもしれません。
 活躍馬はアイビスSDの勝ち馬ジョーカナチャンや、オパールS2着のエイシンデネブ、1200mで4勝を挙げるアスタールビーなど生粋のスプリンターばかり。適性に関しては牡駒とは正反対の傾向が出ています。シャーペンアップは現役時代にスプリントGⅠ・ミドルパークSを勝ったスピード型。コーモラントよりこちらの資質が強く出やすいのでしょう。


★ヌレイエフのクロスのサポートとしても活躍

 実はこのシャーペンアップは、ヌレイエフのクロスをもつ産駒にサポートとして組み込むことでも大きな効果を発揮します。該当馬8頭の半数となる4頭が3勝以上(ジョーカナチャン、エイシンデネブ、トゥザフロンティア、レッドシルヴァーナ)。このパターンに限っては牝駒でも7中4頭が勝ち馬と結果を残しており、性別問わず有効であることも特徴です。

 ヌレイエフはハイペリオン4×4のクロスをもつ血。またシャーペンアップも同5×3となっています。どちらもハイペリオン由来のパワーに優れた欧州血統。大きな括りで見れば同類ですから、親和性の高さはお墨付き。ヌレイエフのパワーをしっかりと後押ししてくれます。


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