ロードカナロア考察(5) ~アーモンドアイは 教科書的な存在~

※ロードカナロア考察(3)もあわせてお読みください


★アーモンドアイの強さは血統で測れるのか

 ロードカナロアの代表産駒で、現役最強馬のアーモンドアイ。以前、この馬について「アーモンドアイみたいなバケモノは血統では測れないのか?」という質問をいただいたことがあります。たしかにGⅠをノーステッキでぶっちぎるほど次元の違う能力は、配合論を超越したところにあるでしょう。そういう意味では答えは「YES」なのかもしれません。


★アーモンドアイから学ぶこと

 ただしアーモンドアイの血統表からは、非常に多くのことを学ぶことができます。本馬の母方にはセクレタリアトやサーゲイロードなどの血はありません。つまりロードカナロアの柔らかさを刺激する要素がないのです。その一方で目立つのは、ヌレイエフ5×3とセックスアピール6×4のクロス。どちらも頑丈なパワーが持ち味の血で、これをクロスで大きく増幅しています。このようにアーモンドアイは、父の柔らかさには触れず、頑丈さを強調した配合です。

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 では実馬がパワー任せのゴツゴツとした走りをしているのかと言えばそうではなく、むしろ優れた柔軟性をもっています。この馬の強烈な切れ味を否定するものはいないでしょう。それだけカナロアは、何もいじらなくても柔らかさを強く伝える種牡馬だということです。

 またアーモンドアイの柔らかさからは非力さを感じず、豪快なフットワークとして表現されています。これはヌレイエフとセックスアピールのクロスによって、体幹をガッチリ固めたことが大きく影響しています。柔らかさを切れ味として活かすために重要なのは、パワーによる下支えだということの証左ではないでしょうか。

 父がいかに柔らかいか、それをどうすれば活かせるのか、ロードカナロアの配合論の真理がアーモンドアイには集約されているのです。


★教科書的な配合

 アーモンドアイとおなじ配合を試みたとしても、同等の強さを作り出すことは容易ではありません。しかしながら、ロードカナロア論を正攻法で突き詰めた、もっとも教科書的な配合であることも事実です。

 そう考えると、最初の質問への返答は適切ではないかもしれません。配合で説明できない強さはあるが、配合論にきわめて忠実な馬でもあることから、答えは「YES」でもあり、「NO」でもある。これが僕の考えです。


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