療養_就労両立支援指導料

療養・就労両立支援指導料の要件が少し緩和されます〈2020診療報酬改定〉

 療養・就労両立支援指導料は、2018年に新たにできた点数ですが、算定されたことはありますか。診療所でも算定してよい点数ですが、要件が厳しく、算定経験がある人は少ないと思います。

 どう厳しいかといいますと、

○ 対象が、がんと診断されている患者で、かつ、産業医のいる事業所に就労している

○ 患者の勤務する事業場の産業医に対し、病状、治療計画、治療に伴い予想される症状、就労上必要な配慮等について情報提供

○ 患者から就労の状況を聴取したうえで、患者に対して療養上の指導を行なう

○ 産業医から、文書で助言を得る

○ 産業医からの助言を踏まえ、治療計画の見直しを行ない、患者に対し説明する

○ これらをすべて行なって、患者に対する指導・説明、産業医による助言を診療録に記載した場合に、6月に1回算定。

といった要件でした。

 対象が拡大されます

 今回の改定で、2つの面から対象が拡大になります。

1.脳卒中、肝疾患なども対象に

 まず、対象疾患が追加されました。がんの他に、急性発症した脳血管疾患慢性肝疾患指定難病の患者も対象になります。

2.産業医がいない事業場の就業者も対象に 

 そして、対象者の勤務先の条件が緩みました。勤務先で産業医が選任されていなくても、総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、保健師のどれかが選任されている事業場なら対象です。常時従業員10人以上を使用する事業所がすべて対象に含まれることになります。

月1回・最大3月の算定に

 これまでは、1回1,000点、「6月に1回限り」の点数でした。改定後は、月1回に限り(3月を限度)初回800点、2回目・3回目400点に変更されます。

【B001-9 療養・就労両立支援指導料】
1 初回 800点
2 2回目以降 400点

注1  1については、別に厚生労働大臣が定める疾患に罹患している患者に対して、当該患者と当該患者を使用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書の内容を踏まえ、就労の状況を考慮して療養上の指導を行うとともに、当該患者の同意を得て、当該患者が勤務する事業場において選任されている産業医、総括安全衛生管理者、衛生管理者若しくは安全衛生推進者又は労働者の健康管理等を行う保健師(以下「産業医等」という。)に対し、病状、治療計画、就労上の措置に関する意見等当該患者の就労と治療の両立に必要な情報を提供した場合に、月1回に限り算定する。
 2 2については、当該保険医療機関において1を算定した患者について、就労の状況を考慮して療養上の指導を行った場合に、1を算定した日の属する月から起算して3月を限度として、月1回に限り算定する。

 なお、窓口を置くことを評価した相談体制充実加算(500点)は廃止。相談支援加算(50点)が新設されます。相談支援加算は要届出、専任で配置している看護師または社会福祉士が、相談支援を行なった場合の加算です。

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