外来食事栄養の改定

外来栄養食事指導料が変わります〈2020診療報酬改定〉

 これまで、外来栄養食事指導料は「エリート医院だけがとれる点数」との認識でした。

 その心は、この算定要件。

…(略)… 当該保険医療機関の管理栄養士が …(略)…

 つまりは、自院で雇用している管理栄養士さんが指導したときしか取れない点数なのでした。ドクターや看護師さんが指導しても✕。他院や地域の栄養士さんにやってもらっても✕。

 「チーム医療で栄養指導をやりたい!」思いがあるクリニックでも、栄養士さん一人を新たに雇用することは、なかなかのハードルです。この点数も管理栄養士さんがいる一部の医院だけしか算定できない点数でした。ですが、今回の診療報酬改定で、その障壁が緩和されることになります。

2020改定でこう変わります
その①

 2020年の改定では、このように変わります。

【B000の6 外来栄養食事指導料】
イ  外来栄養食事指導料1
(1) 初回 260点
(2) 2回目以降 ①対面で行った場合200点 
      (②は後述)

ロ  外来栄養食事指導料2
(1) 初回 250点
(2) 2回目以降 190点

 イ については、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、医師の指示に基づき管理栄養士が具体的な献立等によって指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他の月にあっては月1回に限り算定する。

 ロ については、診療所において、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、当該保険医療機関の医師の指示に基づき当該保険医療機関以外の管理栄養士が具体的な献立等によって指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他の月にあっては月1回に限り算定する。

 毎度のとおり読みにくいですが、イはこれまでと同じ。自院の栄養士さんが30分以上、個別に栄養指導をしたら、200点(初回だけ260点)。初回の指導から1月だけ、2回指導しても指導したぶんだけ算定できます。

 ロが新設です。当該保険医療機関以外の管理栄養士さんに、当院ドクターからの指示をし、栄養指導してもらった場合に、190点(初回は250点)。

 「当該保険医療機関以外の管理栄養士さん」とは、他の医療機関に所属する栄養士さんだけでなく、栄養ケア・ステーションの管理栄養士さんでもOKと答申に明記されています。

 これまでの医科診療報酬でも、有床診療所の入院栄養食事指導2では外部の栄養士さんとの連携が評価されています。さらに介護報酬でも、栄養改善加算の要件「管理栄養士の配置が1名以上」が、外部との連携でも満たすことになっていました。この改定で、ついに無床診療所でも、同様の連携が評価されることになります。

 栄養ケア・ステーションとは、誤解を恐れずごくごく雑にいうと、訪問看護ステーションの栄養士さんバージョン。

 外部の栄養士さんとの連携は、訪問看護ステーションとの連携とは異なります。訪問看護なら、診療所側は指示書を出して指示料を請求、訪問看護ステーションが訪問看護報酬を請求、という形ですね。しかし、現在の診療報酬制度では、栄養士さんは診療報酬を請求できません。

 連携のイメージとしては、在宅がん医療総合診療料に近いでしょうか。診療所が患者・保険者からお金をもらい、そこから栄養士さんに費用を支払う形です。

2020改定でこう変わります
その②

 もう1つ、外来栄養食事指導の大きなトピックスが、ICTの利用。上で省略した、イ(2)の②です。

【B000の6 外来栄養食事指導料】
イ  外来栄養食事指導料1
(1) 初回 260点
(2) 2回目以降 ①対面で行った場合200点 
        ②情報通信機器を用いた場合180点

 イの(2)の② については、医師の指示に基づき当該医療機関の管理栄養士が電話等によって必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

 答申では「情報通信機器の活用」として取り上げられましたが、オンライン診療の指針で定義されるような「視覚及び聴覚を用いる情報通信機器のシステム」に限定されず、電話での指導も対象になっています。

 具体的には、2回目以降の栄養食事指導では、電話やオンライン診療システムでも180点算定可。

※この場合は、連携は✕で、自施設の管理栄養士さんによる指導に限られます。

算定方法

 算定方法は、ここ↓でも書いたとおり、

診察もある場合と、栄養食事指導のみの場合とで、算定方法は2パターンです。再診料算定と実日数に気をつけてください。


診療報酬改定セミナー【講義動画視聴のみ】のお知らせ

 2020診療報酬改定のうち、クリニックに関連する内容にしぼったセミナーです。変更内容をツラツラ提示するだけの解説じゃなく、変更の背景がわかるから、理解がスッキリ深まると大好評です。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?