忘れたくない、初心のこと。
「忘れたくないこと」を思い出した。
ブログとかSNSとか、どこかに記録したと思っていたけど、してなかった。
だから今、まだ情景を覚えているうちに。
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2015年5月5日。
私は赤坂にいた。人生初赤坂。
赤坂なんて用事がないとそうそう来なくって、つまり、その日は「用事」があったわけで。
「用事」というか趣味というか。
行きたかったイベントがあった。
道に迷いながらも会場に着いた。
そこそこ並んでいた。
メロンパンフェス。
平たく言うとメロンパンが売っているイベントだ。このイベントにゼミの卒業した先輩がお手伝いをしていたので、遊びに来たのだ。
並んだ時間をはっきり覚えていないが、11:30の時点ですでに長蛇の列だった。
会場に入ると、そんなに広くはない会場で所狭しとメロンパンが並べられていた。その数35種類。メロンパンを買おうとするたくさんのひとで会場は溢れかえっていた。
先輩はというと、レジ打ちで忙しそうだった。声もあまりかけられなかった。あまりにも人が多いので、メロンパンを買うとサッと会場をあとにした。
ぐるっと会場近くを散歩し、16:00からのトークショーに間に合うように15:00頃に会場に戻った。もちろん、また列に並び直した。
トークショーは世界のメロンパン会議と題して、いろんな国のパン事情を話していた。トークが終わる頃にはもうお客さんはかなり減っていた。
そしてクロージングセレモニー。
もはやスタッフくらいしかいなかった。
そこで代表と思われる大学生が話し始めた。
概ねイベントの不安とスタッフへの感謝だったと思う。
「今就活をするかどうかを悩んでいて。イベントを準備しているときもずっと考えていたんですけど、就活をしないことにしました」
なぜその選択をしたのか、なぜ今ここでその話をしたのか。その内容は覚えていないが、驚いたことを覚えている。
これだけの人が来るイベントをやっている人だから、ハキハキとその場にあった話をする人だと思ってたから。
でも、彼女の話し方はたどたどしくて、見ていないと不安になるような雰囲気だった。
「来年またメロンパンフェスをやるかわからないですが、よろしくお願いします。」
弱気な一言で締めていた。
でも笑顔だった。
そんな彼女を支えたいと思った。
正確にいうとそれは守りたいということだったのかもしれない。
私は次の年からお手伝いをすることにした。
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運営側にまわったいま、私が忘れたくないこと。
それは全員じゃなくても、メッセージは届くということ。
1度目に並んだとき。
私の後ろには親子が並んでいた。母と娘。そんな2人は「メロンパン楽しみだね〜!どのメロンパンを買おうか」と、パンフレットを見ながら楽しそうにパンを吟味していた。
そして一通りパンの種類を見終わったとき、娘さんの方が発した言葉。
「へ〜!このイベントって売り上げがコンゴに行くんだって!」
そうなんだ〜!とお母さん。
良いイベントだねと2人は話していた。
“買ったらいいものだった”で回る社会に。
それがメロンパンフェスが掲げていることだ。
“いいものだから買う”ではなく“買ったらいいものだった”
そんな後付け的な、控えめなメッセージ。
そのメッセージが届いた瞬間を目撃してしまった。
重要だと思うことは人それぞれだから、新しいやり方を受け入れてもらえないこともある。
でも、この瞬間を忘れないようにしたい。
メッセージは届く。
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