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【#読書の記憶から14】今にどう残る×年数を重ねて培われる…

今回は過去から今につながる時間の流れを、建築の視点から。

『いいビルの写真集 west』BMC

ndc:523.1(建築_日本)


なんと奥の深そうな視点で仕上がった本でしょう。
当時では最先端の素材と、新鮮なデザインによって、
手をかけるこだわりだからこそ残る美術的モチーフとその建築。

50〜70年代の小・中規模ビル。
私が生まれる前、経験したことのない文化・空気感の時代に建てられたビルたちは、どこか堂々としているよう。

そして(全ビルではないけれど)今も現役で存在しているという愛され方にも敬服。

今風の言葉を借りるなら、現在でも存分に、“エモい”。

美術⇄工業デザイン遺産として再評価する点に、芸術的かつ歴史的な楽しみがあります。

モダンな雰囲気のビル建築を、存分に味わってください。




続いて、建築を別視点から。


『絶対に住めない世界のゴーストタウン』クリス・マクナブ

ndc:290(地理、地誌、紀行)


もうすでにその街(建物)にほぼ人はいないのです。
でも、写真から確かに感じる、街がそこにあった記憶、人がいた温度……。

廃墟になった理由は様々あるけれど、世界のどこか一部地域に、特定の一時期、街が作られた(作られようとした)事実がある。

タイトル「絶体に住めない…」の通り、これらの土地には再び人が住むことはないんだろうなぁ。

全てが“過去形”で語られる、もうひたすら朽ちていくのみの記録。

1冊を通して、「あるはずのものが、ない」という、虚無感を超えて恐怖感すら覚える、ちょっと特異な1冊です。


“今”に残ってはいるけれど、その姿が対照的な2冊の紹介でした。


【#つながる読書】
次は…


“レトロ”な味わいがブーム?

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