信頼を得るビジネスネゴシエーターになるためのコツ
化粧品会社に勤めるAさんは、アカウント・エグゼクティヴとして、百貨店で働く販売員さん達のケアや相談を受けるのが仕事だった。
だが実状は仕事の相談だけではない。
誰かからこんな嫌がらせを受けたとか、上司の誰それにセクハラを受けたとか、果ては、最近ちっとも仕事のやる気が起きなくて、といった愚痴まで聞かされることの方が多かった。
よく、人から相談を受けるのは人徳があるからだとか、信頼されているからだという人がいる。
これは決して間違った考え方ではないが、これを単に人徳や信頼の話ではなくエネルギー的に考えてみると別の必要要素が見えてくる。
例えばAさんのケースの場合、相手は自分の愚痴を聞いてもらった分、心が軽くなったように思う。ところがそれは錯覚で、相手の負のエネルギーが軽くなったぶん、Aさんに負のエネルギーが充填される。
愚痴を聞いたAさんは、相手の否定的な心のゴミ箱になってしまう。数が少なければAさん自身で消化できるが、あまりたまるとAさんの中に否定的なかたまりを作ってしまう。
するとAさんが次第に憂鬱になっていく。
相手との実力が相当離れていれば心配は少ないが、これが近いと相手に影響されやすいのだ。
では、人から相談(愚痴を含めて)を受ける時にはどんな心の状態でいることが望ましいのか。
まず深呼吸をして自分の中に「光」の意識を入れる。それは相手の幸福を願う気持ちである。
そして相手の心と距離を置き、
自分の感情を動かさない様に努める。そして相手が本当に困っていることには、真剣に答えていこうと努める。
相手の幸福を願う「光の意識」が相手の心と共鳴し、相手の内側から解決の道を引き出していく。
これが、Aさんが長年の経験から身につけた技術だという。
相手の心と距離を置くこと、相手の幸せを願うこと、これはビジネスネゴシエーションでも同様だ。自社のことしか考えていないネゴシエーターは例え交渉に勝ったとしても相手側から得られる信頼は少ない。
相手のことを慮りつつ、自分達の得たいものとの擦り合わせを行ない、win-winを目指して行くことがビジネスネゴの基本と言えよう。
斯様なことを積み重ねて行くことで本当の信頼を得ることの出来るビジネスパーソンになっていく。
(ある書籍の記述を再構成したもの)
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