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仏教の教えから学ぶ

日本で最もポピュラーなお経のひとつに「般若心経」がある。
これには「不垢不浄 不増不減(ふくふじょう ふぞうふげん)」という言葉が出てくる。

それぞれ、物事の本当の姿は、汚いとか綺麗ということもないという意味と、あらゆる事物は空 (くう) なるものであるから、増えることも減ることもないという意味だ。

人間は日頃から、清い汚い、大きい小さい、多い少ない、好き嫌いなどの区別をしている。
こういった区別が何故出てくるのかというと、皆人間の心が判断するからだ。

たとえば、自分の子供の食べ残しなら親は平気で食べる。しかしこれが見ず知らずの人の食べ残しだったら捨ててしまう。同じ食べ物に変わりは無いはずだ。

それは心が汚い清いと区別しているだけのことだ。

清水寺の大西良慶和上は『俺が、俺が・・・』と自分のことばかり主張するのが汚いこと、
『あなたからどうぞ』と人を尊重するのが清いこととしてこんな歌を歌っている。

「みな人の 心の奥の 隠れ家に 鬼も仏も 我も住むなり 」

人間の心の奥には、鬼も仏も、また自分自身も住んでいて、縁に触れることによって、どちらかがパッと出てくるというわけだ。

『俺が、俺が』という鬼の声に耳を傾けず、たまには、ほんの少しでも他人のことを先に考える仏の声に従ってみると世の中が少し違って見える。

(ある書籍の記述を再構成したもの)

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