「タコツボ」の限界
タコツボは、それぞれに孤立したツボが1本の網で並列的に連なっている。
日本の文化や社会組織は、タコツボ化していると揶揄されるが、これは一言でいえば「あらゆるものがタコツボのように孤立して存在し、相互の関わり合いがない」状態ということだ。
そして、ある一つの仕事しかできない状態を「タコツボ的生き方」と呼ぶ。
このような生き方をしていると、視野が狭くなり、自分のパートしか見えなくなる。
だが、このタコツボ的生き方は外から邪魔されず、自分の仕事に打ち込むことができるので非常に心地良い。
タコツボに身を隠していれば、傷つく危険は避けられるからだ。
だがそうなると、全体の中での自分の位置づけや役割を正確に理解できず、それがそのまま大きな失敗の原因になることさえある。
ところが、現実にはこのような生き方をしている人は少なくない。
なぜタコツボ的生き方の人が多いのか。
それは自分の得意分野で得意な事だけを限られた空間でやるのは楽だからだ。
少し前までは一つの分野で自分のポジションを確保する生き方は成功パターンとして通用していた。
自分の得意分野だけやれば、格好がついた。
ところが、時代背景と状況が大きく変わった現代ではその様な生き方をしていた人達が一転して苦しい立場に追い込まれる傾向が出ている。
こういう人は人事異動やリストラなどの別の生き方を求められたとき、うまく適応ができない。
狭い分野でたいした成果もない開発研究を続ける者、顔なじみの客回りしかできない営業、こうした人たちが、タコツボ的生き方にドップリ浸かる傾向が強い。
今の時代、給与が上がらない、上が詰まっている、年功序列制度の変更、ジョブ型など過去期やり方が通じない時代が到来している。
以前はプロフェッショナルかジェネラリストかという議論があったが現代社会で求められるのは戦略を実行するスピードや実行力だ。
そして過去にしがみつくことの制約を自ら外し、新しいことに、果敢に挑戦した生き方が求められる。
幅広い視点を持つことが自分を守る術になることを、肝に銘じるべきだ。
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