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失敗なんて恐れない

少しずつ、妻の遺品の整理をしていると、画用紙に綴られた言葉と遭遇した。


彼女は、本当の詩人だった。

詩人藤富保男に師事して詩誌『銀曜日』の編集人だった。私も晩年の先生に面晤を得たが、先生も彼女も久しぶりの再開を笑顔で語り合って、まるで恋人でもあるかのように楽しそうだった。


桃山の稲垣足穂に顕微鏡をプレゼントしようと訪れたこと、加藤郁乎氏との交流、三島事件の日のこと、辻まこととの対話、アラブゲリラの頃の吉村作治氏のこと、兼高かおるからの電話、高橋新吉や北川冬彦、金子光晴との思い出、などなど沢山のことを聞かせてくれた。

これからも、彼女の言葉と遭遇することだろう。物質的な命尽きようとも、言葉は生き続ける。それはすべて、私のお守りだ。

(※表紙のポートレートは加藤郁乎氏との一枚。「加藤先生と呼びかけると、『先生と言われるほどの馬鹿はなし』とおっしゃって、それ以来加藤さんって言うようにした。知的でありながら、破茶滅茶でおもしれえ人だった」と教えてくれた。)

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