「月報こんとん」１２月号

作品

松尾優汰「こんとんの眠りに」

こんとんの眠りに梁が梁の眼が　　田中五呂八

メリークリスマス不用品回収車

それでも内臓がある私の十二月

また噓をついて内臓がこぼれだす

人身事故以後にぎやかな電車内

To be continued. の文字がならぶ枕もと

子供はやがて邪悪に未成年は成年に

ぜんぶ失敗して内臓だけがある

みんな私の脂身を食べようとしない

そして骨も残らずで笑える　笑うな

でも川柳は微笑んでるだけ

二三川練「パフェ」

カレー屋に教えてほしいことがある

当分は気圧を語る間柄

放火魔の気持ちで選ぶトッピング

お笑いを家族ぐるみで訴訟する

今風に言えば貧富のいちごパフェ

たすけてと書いて忘れた自由帳

弁当の蓋をあけたら湯気がでる

水星の等高線は無邪気だな

葬列に食べるラー油を振る舞った

途中からお神輿があるユートピア

暮田真名「十函によせて」

　　映画『にわのすなば』

まちがいのある地図だけど見るでしょう

星々を粉飾したりしてるのよ

入れ違いからうなぎがとれて

灯りゆく目にまつげがささる

お話にならない棋譜が増えてゆく

高砂に居座ってくれ　頼むから

スピリットがあふれるごとに人を呼ぶ

影踏みのルールで話しかけられず

阿波踊りできない　こんな間取りでは

持ち歌を持たずに門をくぐるべし

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