「月報こんとん」11月号

作品

松尾優汰「繁栄の昭和」

犠飛をはなってもたどりつけない真夏

幸せなら棘皮動物を裏がえそう

こずえ液化する幼児のかたちへと

硝子の自殺者くだけちる断崖

輪廻のやがてぶさいくな猫になる

共産主義という亡霊をつれまわす

檸檬からしぼりだす廿世紀

祖母はいまも時計のなかでうずくまる

繁栄の昭和は蜘蛛で子を散らす

小鳥をうみつづける小鳥のうるんだ眼


二三川練「おれのもの」

一点をのぞけば空はうつくしい

毒抜きの技術がミサを盛りあげる

傍点の国家に指が群れている

千円を二つわたして飯を食う

クリームを鼻につければ完璧だ

キーボード叩けば文字があらわれる

ジャイアンが海老アレルギーだったとは

髪の毛ほどのアフリカだって

オマージュはあればあるほどいいらしい

肉球を脱いで煙草を吸っている


暮田真名「ひなげし」

雪化粧であるからには末代だ

ひなげしは群発地震の仲間だろ

こんなのは開催国の電話線

通り雨にしてはブツブツが多い

面汚しだけどほたるに似ているし

処方せん出してよ味見するから

噛ませ犬なんだ土のうも格納も

今にして思えばぼくはレールガン

遠ざかるときにお城を使ってね

千里眼になってみないとわからない

ネットプリント印刷番号


🏪セブンイレブン
【34417403】
12月8日23時59分まで

🏪ファミマその他
【356HUK4ND8】
12月9日11時頃まで


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