「月報こんとん」2023年4月号

栫伸太郎「Chunk」

「こし餡で旅籠つくれ」はすべて詐欺

檄文だけどサムネでもある

矢も盾もたまらず蛍光色でした

言ってくれれば出土したのに

チャンク化される農水大臣

終わってみれば色鬼でした

サロメ、サロメ、プラレール

昇順でヤングコーンを列挙する

緊張で変体仮名が生まれそう

はちみつがこわれていくの何度でも

今田健太郎「すこしおとな」

あとすこし湖がなくなっていく

首がないおとなを呼んでくるぼくが

笹かまを古城に置いておけばいい

ピストルにきっとバターを塗っている

昔からこういう雲じゃなかったの

加湿していたはずなのに有名に

この市民ホールがあなたなんですよ

夕焼けは窓のむこうでだらしない

サン・テグジュペリもあしたは来るそうだ

くもり空 セレモニーかもしれないな

暮田真名「やり直し」

教会に新郎がいる やり直しだよ

世界一ながい歴史をもつ痴態

しだいに酸化してはいけない

そんなことも分からないので森にいる

よく見れば放火をされたわけじゃない

水もれのしかたを指図しないでよ

金ぴかの額がふれるほど近く

比較して エンドロールと劇中歌

放火魔にされたことなら信じよう

甘い夢みたひとだけがいる緑地

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