「月報こんとん」10月号

作品

松尾優汰「それぞれの魚」

三鷹市の鷹に喰わせる妻の遺体

葬送のなか打楽器をわたされる

祭囃子にかき消される断末魔

沈黙は金貨うめつくされる駅

貝に耳あてても罵詈にみちている

鏡よ鏡わたしは私の詩の神さま

スノードームでこごえる私の影

兄は執拗に何度でも焼けおちる

敗北に似ている栗も音楽も

仲間にいれてくださいと蔓つよくにぎる

二三川練「おまえのはなし」

通天閣ぜんぶおまえのせいになる

来週のおまえの声は与謝蕪村

マッポの舌でおまえを舐める

おまえでもジャミロクワイを避けられまい

ヤリ部屋におまえの顔の道祖神

おまえにも思想史がある芋煮会

おまえから焼けたキリンの灰が降る

オタ風のポンから入り浸るおまえ

おまえとは一人称の棚卸し

おまえらの母を憎んで三千里

暮田真名「おまもりください」

今年こそガーゼの剥がしどきだろう

ふかふかの異常をさがしてるところ

東海が五臓六腑にまたがって

仄暗い水でしばらくすすがれる

ばい菌のほかに見るべきものはない

目につくときは人目をさけて

不時着したひとの庭にも住んでみる

きれいなとげがバラに駆け寄る

石けんのひつじでいうとハツの部位

船底につばをつけたら治るわ

ネットプリント印刷番号

🏪ファミマその他
【356HUK4ND8】
2022/11/09 20時頃まで

🏪セブンイレブン
【19787055】
2022/11/08まで


いただいたサポートは「川柳句会こんとん」の運営に使わせていただきます。