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続 対話の時間を

引き続き、対話の必要性について。

前回の記事では校内フリースクールと心が萎えている生徒への対応について触れました。今回は問題行動がある生徒と特別指導室について述べていきます。

問題行動をとる生徒、すなわち、素行不良とされる生徒にはどう対応していくべきなのか、ということですが、校内フリースクールとは対極となる場所に別室、すなわち、特別指導室を設け、そこで、生徒と対話を重ねていきます。

これは器物の破壊や対教師暴力、他の生徒へのイジメも同様です。事情がある生徒は別室に分けて、対話を重ねる。

素行不良とされる子がいて、ありがちなのは、ガツンと言ってやるんだ、校則罰則を厳しくしろ、というものです。

休み時間、タバコを吸ってる生徒に対し、教員が離れた場所から大声で一言、喚いて、去っていく。公園で夜間、たむろしている児童に対し、地域の人が離れた場所から短く怒鳴って、去っていく。それで「ガツンと言ってやった」と何かしら指導的対応をしたかのように振る舞う。

他には不良の生徒を念頭に「校則罰則を厳しくするべきだ」と唱える人もいます。ただ、唱えるだけで、自分は実践することはないのだけれど。自分は怖くてできないけど、誰か、いかつい人がやってくれないかなー、と期待してるわけです。

「ガツンと言ってやるんだ」と唱える人も不良の生徒が怖いわけです。怖いから攻撃的になってしまう。一言、離れた場所から大声で喚いたところで何の改善も向上もないのに。

素行不良とされる生徒がなぜ、いるのか。それは彼ら、彼女らが親から愛されてこなかったから、虐げられてきたからです。全ての不良がそうではなくて、なかにはイジメ被害から不良化するタイプもいますが、ほぼ家庭、ほぼ親子の関係です。

不良、半グレ、ヤクザとされる人々は何かしら不幸な家庭環境があった人ばかりです。ただ、自分達が同情される側になりたくないから、そこはハッキリ、詳しく言わないだけで。

愛媛県の松山市では毎年、青少年非行防止主張大会なる催しがあり、地元の警察の主催で地域の各中学の代表者を集め、どうすれば、不良になることを防げるか、を児童らに発表させています。

富山県の氷見(ひみ)市では保護司会の主催で中学生を対象に法教育プログラムなる取り組みを実施しており、少年事件の様々な事例を提示し、子供達に考えさせる機会を提供しています。

これらはあたかも不良になることが、非行に走ることが子供達の心がけの問題であるかのような取り組みです。

子供達の心がけではなく、家庭、親の問題なのだという認識が警官や保護司の方々に希薄なのでしょう。

理解ある保護司の方だと、ワケありの少年を自宅に招いて、カレー、ケーキ、コーヒーを供しながら、話を聞きます。話の内容は彼らの家庭のこと、幼少からの親子の関係性です。

彼らは親から愛されてこなかった、彼らが抱えている悲しみや苦しみに理解を示す、やがて、彼らは心を開いてくれる、モラルを説くのは、その後です。そして、場合によっては親との仲立ちもするそうです。

こういうわけで、学校の教員、とりわけ、ベテラン50代以上の方、あるいは40代でも管理職の方には生徒との対話に時間を割いてほしいのです。

20代の教員は自己研鑽に、30代の教員は自分の家族に、40代の教員は若手のサポートに、そして、50代の教員は生徒との対話に時間を割くと。

「生徒との対話」を唱えると、「それは児童福祉の役割だろう」と軽い反発が教員サイドから返ってきそうですが、学校の教員が塾、予備校の講師と何が違うのか、ということですよね。有り様は人格形成のはずです。

規範となるのは栗原卯田子氏。2004,5,6年、都立水元高校に赴任し、中退率が17%を超える教育困難校を3年間で立て直します。

あと3年で廃校が決まっていた水元高校、最期の3年間を託されたのが、前年度まで教頭だった栗原氏でした。17年間、校長職を務めた栗原氏にとって、最初の3年間が教育困難校だったわけです。

地域の評価も最悪、「あんな学校無くなってしまえばいい」、教員達もほとんどが早く他校に異動したい、と士気も低い。

そうした学校に赴任した栗原氏は毎朝、校門に立って、生徒に挨拶をします。8時半の定時に10時代にぞろぞろ、やってくる、その彼らに笑顔で挨拶をする、生徒の髪型、服装のことはとやかく言わない、髪を虹色に染めていよが、腰にアクセサリーを沢山つけていようが、一切、問わない。

昼休みも校長室で生徒と談話をする、こうしたことを続けるうちに学校の雰囲気はよくなっていきます。遅刻は減り、中退者も減り、問題行動も減っていき、廃校する年度には全員が就職を決めて卒業していきます。

これが教育の力です。教員の働きかけで、多くの生徒の人生をいい方向へ変えることができるのです。また、校長がトップが変わるだけで組織はこんなにも変わる、ということでもあります。だからこそ、私はベテラン、管理職、校長に訴えたい、「対話の時間を取ってください」。










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