見出し画像

映画カラオケ行こ!を1ヶ月で14回見た話

2024年が始まって3週間くらい。
そこで2024年最高の映画に出会ってしまいました。
その名は「カラオケ行こ!」

きっかけは、某SNSで相互さんが描かれたファンアートで「カラオケ行こ!」を知り、調べたら丁度映画を上映しているのを見たから……で、これが1ヶ月に14回鑑賞することになる怒涛の始まりでした。

敢えて原作を読まずに映画を見ることを決めたため(映画の前に原作読んだらイメージと違う!になりかねないため)とりあえず映画の評判やキャスト・スタッフを確認したところ大変評判が良く、かつ脚本が野木亜紀子さんだったのが最終的な鑑賞の決め手でした。
個人的に、映画もドラマもお芝居も演者の演技が第一だとは思うのですが、同じくらい脚本が命と思っています。カラオケ行こ!の脚本は、原作にないシーンも違和感がなく、原作の隙間を埋めてくれる内容で納得でした。

この物語は、淡々と主人公の中学での学校生活とヤクザとのカラオケレッスンの二軸でストーリが進みますが、中弛みもなく合間にコメディが入り、最後のクライマックスでのカタルシスが半端ないので、初めて見た時にグッと来てしまい、とんでもない映画を見た!!!と感激し、即沼に落ちて原作を買いに本屋に走りました。

カラオケ行こ!は、ヤクザである狂児が中学生の合唱部部長に声をかけ、カラオケを教えを乞う……という現実ではあり得ないストーリーではあるものの、綾野剛さん演じる狂児の飄々とした演技(とにかくセリフごとに演技が細かいので、本当に演技上手いなと思います。ハイエナの兄貴のくだりは最初騙されましたしね笑)と期待の新人である齋藤潤さんのしっかりした演技(映画が初めてとは思えない、初々しさを残しつつもきっちりしたお芝居で、違和感のない岡聡実がスクリーンの中にいました。そしてとにかく可愛らしい。)で、岡聡実の中学三年生の内数ヶ月間の青春を狂児と駆け抜けていきます。

原作同様に映画も聡実の話なので、狂児が普段どうしているのか、聡実をどう思っているのかは分かりません。カラオケ大会での最下位に与えられる罰ゲーム「組長の手でおかしな入れ墨を入れられる」のを回避するために、聡実に歌を習うヤクザそれだけです。
最初はヤクザである狂児に、おっかなびっくりしてる聡実(見た目と裏腹に肝が座っていて、毎回ヤクザの奢りでチャーハンなどをしっかり食べてるし、歌において自分より相手の実力がしたと見るや辛辣になる、将来大物になりそうなタイプ)と聡実の親くらい歳の離れた狂児が少しずつ心を通わせて、カラオケ大会に向けて力を合わせて行くのは微笑ましいし、聡実自身声変わりでボーイソプラノで上手く歌えない葛藤や友達との放課後の映画鑑賞を挟んだ交流に青春を垣間見て、懐かしい気持ちになります。
(後輩の和田くんも映画を見よう部の栗山くんも良いキャラでしたね)

もう狂児を恐れない聡実、聡実を振り回しつつも教えを乞う立場の狂児。2人の間には友情の様な不思議な絆が生まれ、いよいよ狂児のカラオケ大会、聡実の最後の合唱大会の日、運命の歯車が狂います……。

この歯車が狂ったのは狂児なのでしょうか。

クライマックスの聡実の熱唱。
苛烈としか言いようのない、魂を全てつぎ込んだ様な叫びの歌は、初めて見た時に心を打たれ、本当に心震えました。あれを生で見た狂児は何を思ったのでしょうか。
あの歌に完全にやられてしまい、もう一度見たいと2回目の鑑賞を決めたのですが、気がつけば1ヶ月で14回も見てしまいました……。
もうセリフも言える状態になってるのですが、全く飽きませんね。
聡実とほぼ同い年で演じた齋藤潤さんのリアル声変わりと、彼の人生におけるあの一瞬の煌めきを見ることができて本当に良かったと思います。
眩しくて、影絵の歌詞の様な存在でした。

最初は、初めて見た回が平日真昼間でお客さんがまばらだったため、これは公開期間短いかも!と一日2回見ることを数回やったりしてましたが、評判が評判を呼び、1ヶ月以上経っても満席になってる映画館もあるそうです。
私も少しでも公開期間が伸びるよう、20回目指して映画館に通いたいと思います。

是非、綾野剛さんの素敵な歌唱と齋藤潤さんの苛烈な紅を見てください。
青春時代の一瞬の煌めきを分かっていただけるかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?