見出し画像

75についてのお話

こんにちは。身近な数字のアドバイザーのナカナカです。

今回の身近な数字は75。
和歌山市が2019年8月に行ったペットボトル(以下PETボトル)の廃棄状況に関する調査によると、全体の75%がキャップやラベルを外して適正に廃棄されていました。というわけで、今回はPETボトルの再利用と廃棄に関するお話です。

前回は、PETボトルが清涼飲料水用に生産される容器の76%を占めている理由について述べましたが、PETボトルは容器としての性能が優れているばかりではなく、リサイクルが容易で環境に優しい素材でもあるようです。

PETボトルリサイクル推進協議会によると、PETボトルの再生には「カスケード」と「水平(ホリゾンタル)」の2つのリサイクル方法があります。「カスケードリサイクル」は使用済みPETボトルを原料として食品トレイ、包装容器、繊維などを製造するものです。カスケード(滝)は、元の製品の品質には及ばない品質の低下を伴う、上から下への再生方法をイメージしているようです。

「水平リサイクル」は使用済みPETボトルから新たな食品用PETボトルを再生する「ボトルtoボトル」というシステムです。回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄して異物を取り除いた後に高度な処理を行い、もとの樹脂と遜色のないPET樹脂に再生するものです。化学的再生法と物理的再生法の2つの方法がありますが、いずれも食品容器としての安全衛生性が認められています。

私がPETボトルの再利用と聞いて思い浮かべたのは、飲み終わった飲料のボトルに新しい飲み物を入れて使う「リターナルPETボトル」ですが、「ボトルtoボトル」は全く次元の違う話のようです。「リターナルPETボトル」が傷付きや臭いの吸着があって繰り返し使用には限界があるのに対して、「ボトルtoボトル」は異物の完全除去を行い、バージン樹脂と同等に品質の高いPET樹脂に再生できるため、高度な循環型リサイクルといえます。

全国清涼飲料連合会は、持続可能な資源循環型社会への貢献を目指して「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」を行いました。使用済みPETボトルを元の素材と同等の品質に再生した上で原料の一部とすれば、化石資源の投入が抑えられ二酸化炭素を削減する効果があるというわけです。ただし、この宣言を実効性のあるものにするには、使用済みペットボトルをきれいな状態で確実に回収しなければなりません。

もともとわが国の使用済みPETボトル回収率は高く、2019年には欧州の約2倍、米国の約3倍にあたる93%が回収されました。しかし、和歌山市の調査結果では、全体の約25%はキャップ、ラベルがついたままの状態で、PETボトルの中に異物が入っていた例もあったようです。

軽くて便利なPETボトルを使い続けたいと願う私は、使用済みPETボトルを積極的に正しく廃棄し、回収ルートにのせる努力を惜しまないようにしたいと強く感じました。

一般社団法人 全国清涼飲料連合会
http://www.j-sda.or.jp/
ペットボトルリサイクル推進協議会
https://www.petbottle-rec.gr.jp/topics/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?