介護にかかわるストレス(1) ~介護うつ、介護ロス~

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                    2019/11/29 第546号
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【介護にかかわるストレス(1) ~介護うつ、介護ロス~】

こんにちは、メンタルアドバイザーのにんじんです。

最近、介護にともなうストレスをためてしまい、うつ状態になったと言う話をしばしば聞きます。更に、介護していた方を見送った後、喪失感からいつまでも抜け出せなくなったなどの、いわゆる介護ロスに陥って立ち直れなくなってしまう方も少なくないようです。
 介護うつや介護ロスに陥らない為にはどうしたらいいのでしょうか。

介護のため、仕事も辞め親の介護に専念する、或いは他の家族の反対を押し切って一人で引き受けてしまい孤立するなど、家族間のトラブルや、一人で介護する辛さ、経済的な不安などから大きなストレスが生まれます。親のためにと一生懸命頑張ることは素晴らしいことですが、本当にそれでいいのでしょうか。本当に親が望んでいることでしょうか。親は自分の亡き後、介護してくれた者たちが、これからの人生を活き活き送って行って欲しいと願っているのではないでしょうか。介護される年齢が近づいてきた私も、親としての立場で考えてしまいます。

 それぞれのご家庭の事情もいろいろあろうかと思いますが、少しでも介護にまつわるストレスを回避することができないだろうかと思います。かつて、私達も介護に明け暮れた日々がありました。ご参考になればと、当時を思い出しつつ書き綴ってみます。その中で、介護される側、介護する側の双方にとって、少しでも穏やかに過ごしていくことができる方向を探っていければと思います。

先日、義父の17回忌の法要の為、博多に行ってきました。すでに、17回忌を迎えるほどの年月が経ったのかと感無量でした。交通事故にあい、1年ほどの病院生活をして父は亡くなったのですが、残された母の様子に只ならぬものを感じて、老人問題を専門とする大学の教授に相談しました。その診断はアルツハイマー型認知症の初期でした。そしてアルツハイマー型認知症の人にとって、極端な環境変化は良い影響は与えないとのアドバイスでした。

それと共に教授に言われたことは、「親のために、家族・兄弟で何としても介護しなければならないと考えているでしょう。その気持ちは大事だけれど、家族で何としても介護しようと頑張るのは考えもの。これまでの経験では、皆さんはじめは頑張って介護を始めるが、しばらくするとストレス・不満が溜まり険悪な言葉のぶつけ合いが起こる。目は吊り上がってくる。そんな周囲の空気は、認知症の人をとても不安な状態に陥らせ、症状が悪化してしまう。症状が悪化すると介護者のストレスはさらに高まるといった悪循環に陥ることが多いのです。家族で何が何でも介護しなければと考えるよりも、プロに任せられる仕事はプロに任せなさい。そうすると家族は余裕が生まれ、ストレスに振り回されず、いい距離を置いて笑顔で顔を合わせることができる。それが介護される側にとっても一番。」とのアドバイスでした。これから始まる介護の大変さと不安でいっぱいだった私達は、医師の言葉は目からうろこで、暗雲が晴れ視界が広がった思いでした。

最初に、これからどう介護していくかを、専門家のアドバイスを得て、家族が共通の認識でスタートできたのは幸せでした。介護を場当たり的に始めてしまうと、先の見通せない状況に陥りがちです。それがストレスを高めていくのではないでしょうか。

こうして、できるだけ母の生活が現状の延長で居れるよう、生まれ育った博多の街で母が暮らせるよう、私たちが遠距離介護することを決めました。

長くなってきましたので、この先は次回にお伝えすることにします。具体的にどう介護をしていったか、その過程で出会った介護のプロの方々から学んだ穏やかな介護について考えたいと思っています。そして、介護にかかわるストレスから生まれる介護うつ、介護ロスに陥らない為にどうしたらいいのかを、改めて考えてみたいと思います。
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