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コロナで再生可能エネルギーに存在感が !

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                        2020/08/14 第583号
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【 コロナで再生可能エネルギーに存在感が ! 】

こんにちは。住環境アドバイザーのMadayoです。

新型コロナウイルスの感染拡大で世界の電力需要が落ち込む中、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電量が伸びているそうです。再生可能エネルギーは発電する際に多くの作業員が要らず、感染症にも比較的強いことがその理由です。IEA(International Energy Agency=国際エネルギー機関)も2020年は再生可能エネルギーだけが増加すると予測しています。意図せず起きたエネルギー構造の変化がコロナ後のニューノーマル(新常態)となるか注目されるところです。

新型コロナによる経済活動の停滞で、石炭などの火力発電は稼働率が大幅に低下しました。欧州では化石燃料などによる発電量が20年1~3月期に前年同期に比べ約200億~250億キロワット時落ち込んだようです。一方で風力・水力発電が約200億キロワット時増えました。

一度設置すれば、その維持に人手がほとんどかからない再生可能エネルギーの利点が影響したようで、過去20年間の技術革新でコストなどの競争力も大幅に向上したことも理由の一つです。

米エネルギー情報局も20年は米国で石炭火力発電が25%程度下がる一方、再生可能エネルギーによる発電は11%増すと予測しています。

IEAは世界のエネルギー需要が20年は前年比で約6%落ち込むと予測しています。石炭は約8%、石油は約9%それぞれ下がるという予測ですが、再生可能エネルギーだけは約1%増えると見通しています。IEAは「運転費用が安く、コロナの感染拡大による影響から最も回復力がある電源が再生可能エネルギーだ」と高く評価しています。

再生可能エネルギーは発電量が日照や風向きなどに左右されるものの、電力を広域で融通する欧州では、天候のリスクも下がっています。暖冬で天候が良かったことや風の条件も恵まれたことも欧州の再生可能エネルギー拡大を後押しました。

これに対し、火力や原子力発電所は運転に多くの作業員が関わり、感染症の影響も大きくなります。日本でも関西電力が5月、大飯原子力発電所3号機の定期検査作業を新型コロナ感染防止のために延期しました。災害に弱く発電も安定しないといわれてきた再生可能エネルギーですが、コロナ禍ではレジリエンス(回復力)を発揮した形となっています。

再生可能エネルギー導入に積極的な欧州は、新型コロナ後の景気回復に再生可能エネルギーの普及拡大などのグリーン政策を打ち出しています。電力を融通できる欧州全域で設備容量が増えれば、特定の地域の気候にも左右されにくくなります。

ただ再生可能エネルギーもコロナ禍から免れたわけではないようです。それは、中国や欧州の再生可能エネルギー設備関連の生産ラインが停止し、サプライチェーン(供給網)が寸断されたために各地の太陽光・風力発電の導入計画が遅れ始めており、今回のエネルギー構造の変化が新常態となるかは不透明な状態のようです。設置し、稼働するまでの問題ですね。

日本は3月末に温暖化ガス削減目標の据え置きを決めました。再生可能エネルギー拡大に向けた具体的な施策は、残念ながら議論の俎上(そじょう)に載っていません。IEAが再生可能エネルギーを高く評価しているのにです。
このままではエネルギーを巡る世界の変化に取り残される可能性があります。
既得権の保護ばっかりに目が行って、温暖化防止の目標を見失うことが無いように祈るばかりです。

■参考資料
日本経済新聞電子版 2020年6月10日号
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■ 発行:くらしの情報発信研究会
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